一番やさしいWBS −マイルストーンを入れる−

本を買っても、読書をせずに積読になってしまうことがままあります。それは、いつまでに読まないと「困る」という状況にならないからです。もし、技術書を読まなければ仕事に支障が出るとしたら、必要な部分だけは少なくとも読むでしょう。だって、「仕事で困る」からです。


その「困る」状況の具体的で誰もが経験したことがある例があります。それは、「夏休みの宿題」です。夏休みが始まる前に「夏休みの過ごし方」という計画を立てますが、提出が新学期の登校日の場合はその間だれもチェックすることがありません。


やらなければ「困る」のに、夏休みの最後になるまで放置し、いよいよ間に合わない1週間前になって慌てて、泣きながら徹夜して提出した経験はあるのではないでしょうか。


えっ、そんなこと1回もないですって?またまたご冗談を。


マイルストーンってなに?
マイルストーンとは、工程を管理するために設定する区切りです。区切りですから、そのタイミングで何かが終わっている必要があります。終わっているということは、WBSが「完了した」と言える状態になっている必要があります。


マイルストーンは「区切り」ですから、WBSのように作業量はありません。ゼロです。


マイルストーンまでに終わらすWBSはどう選べばいいの?
では、マイルストーンはどのような条件で設定すると良いのでしょうか。まず、前回までのWBSを確認しましょう。

【例5】プロマネの本を読む

WBS ID WBS 先行WBS ID 作業量(8時間/日) 開始日 完了日
1 プロマネの本を読む n/a 3.0 5月2日 5月4日
1-1  プロマネ本を選ぶ n/a 0.25 5月2日 5月2日
1-2  本を買いにいく n/a 0.25 5月2日 5月2日
1-3  本を買う 1-1/1-2 0(1-2に含む) 5月2日 5月2日
1-4  本を読む 1-3 2 5月2日 5月4日
1-5  感想をブログに書く 1-4 0.5 5月4日 5月4日


例7のWBSの中から、自分一人でできるものと、自分と他の誰かと関わるWBSがあるかを確認します。「1-1」から「1-5」の中で、誰かと関わりのあるWBSは、「1-3」の「本を買う」です。「1-1」で本を選んでも、書店に本がなければ「1-3」のWBSは完了できませんから。

【例6】プロマネの本を読む

Milestone ID マイルストーン 先行WBS ID 作業量(8時間/日) 開始日 完了日
M-1 本を入手する 1-3 0 5月2日 5月2日
WBS ID WBS 先行WBS ID 作業量(8時間/日) 開始日 完了日
1 プロマネの本を読む n/a 3.0 5月2日 5月4日
1-1  プロマネ本を選ぶ n/a 0.25 5月2日 5月2日
1-2  本を買いにいく n/a 0.25 5月2日 5月2日
1-3  本を買う 1-1/1-2 0(1-2に含む) 5月2日 5月2日
1-4  本を読む 1-3 2 5月2日 5月4日
1-5  感想をブログに書く 1-4 0.5 5月4日 5月4日


このWBSでは、5月2日の時点で「本を購入して、手に入れている」状態になっていなければならないことになります。進捗管理の観点では、「1-3」のマイルストーンをチェックポイントとして作業の進行を追いかけます。