プロジェクトに新規参入者するメンバの受け入れ −差異から見えてくる2つの観点−

前回のおさらいは プロジェクトに新規参入者するメンバの受け入れ −立ち上げ時にあるもの・ないもの− を「人物金」「時間」で思いつくものを表4で挙げ、さらにこの「ある・ない」から表6を作成したのでした。

表4

カテゴリ 立ち上げ時に「ある」 立ち上げ時に「ない」
初期メンバ 追加メンバ
メンバ間の関係
契約書・提案書
提案した技術手法
ノウハウ
成果物・中間作成物
プロジェクトに関する暗黙知
ノウハウ
開発チームの運用ルール
計画予算 残り予算
時間 契約期間 残存時間


表4から思いついたものを表6に書き出しました。

表6

プロジェクト立ち上げ時 プロジェクト進行中
「プロジェクトメンバが集まり無の関係から」
「契約に関することをインプットに」
「計画予算をもとに」
「契約期間をもって」
プロジェクトを開始する
「プロジェクトメンバが関係を育て」
「インプットをもとに成果物を作成し」
「計画予算を費やし」
「契約期間を費やし」
プロジェクトを遂行する


表6の「ある・ない」の差分を考えてみます。

表7

プロジェクト立ち上げ時 プロジェクト進行中 差分
「プロジェクトメンバが集まり無の関係から」 「プロジェクトメンバが関係を育て」 関係性の醸成
「契約に関することをインプットに」 「インプットをもとに成果物を作成し」 アウトプットの創出
「計画予算をもとに」 「計画予算を費やし」 リソース(人物金)の消費
「契約期間をもって」 「契約期間を費やし」 リソースの(時間)消費
プロジェクトを開始する プロジェクトを遂行する 作業の進度


プロジェクト立ち上げ時はメンバはお互いのことを知りませんから関係性はゼロです。立ち上げ時の関係性をスムースに始められれば今後の仕事上の関係はよい方向に進む可能性が高まります。プロジェクトの進行に沿って関係性で期待されることは、円滑なメンバ間のつながりです。


お互いの技術レベルを知ることでコミュニケーションで省略できる部分ができます。お互いにメンバのレベルにあわせてボトムのコミュニケーションを省略して途中から意思疎通を始められるわけです。


2つ目は、プロジェクトの進度にあわせてプロシージャが実行されれば、あわせてアウトプットが生み出されます。それも一番最初は何もないわけで、インプットを取り込み、最初のアウトプットが作成されます。時間の進行によりプロシージャが繰り返されるわけですから時間の進行により多くのアウトプットが作成されることになります。


3つ目は、プロジェクトの立ち上げ時はその時点でのリソース、つまり「人物金」が引き当てられます。そして、プロジェクトの進行によりリソースが消費され、プロジェクトの状況に応じたリソースが残存していることになります。


4つ目は、3つ目のリソース「人物金」を「時間」に置き換えたものです。プロジェクトでは納期が決まっていますから、「人物金」と同じように時間が経てば残存するプロジェクト期間も減ることになります。


5つ目の最後は、進度、です。リソースの「時間」の消費とプロジェクトの進度は別の概念です。


これらから何がわかるの?
表7の差異からわかることは、プロジェクトの立ち上げから参画しないと、プロジェクトの進度に応じて途中参画するメンバは

・すでに出来上がっている関係へ新たに参入して新しい関係性を作る必要がある
・進度に応じた多くの情報を吸収する必要がある

という2つのアクティビティが暗黙に課されているということがわかります。


でも、これって、途中参画するメンバが負わないといけないことなのでしょうか。