エンジニアなら腹黒くいくか、それとも、しもべと化すか


ワタシの周りにいるシステムエンジニアのみなさんはとても真面目で素直で優秀だと思うのです。だって、見積もりで前提としているスコープを決めているのに要件を聞きに行ったり、思い付きのようにポッとでてきた要件をどうにか取り込めないかと考えたり、はたまた取り込もうとしたり。テストでは、見積もり前提より綿密なテスト計画を立て、それを抜け漏れないように確認しようとするわけです。


でも、ちょっと待ってくださいね。それ本当にそのやり方でいいのでしょうか。お見積りの前提と違うなら正面から範囲外であり再見積もりと返すのが正しい行動なのではないでしょうか。


え、お客さまにはそんなことを「面と向かって言えない」んですか。じゃあ、どうするんですか。その追加要件や過剰な品質検証をするのですか。


こういった話は、一つひとつ解きほぐして会話をすると理解してもらえることですが、でも最後には「やらないといけないんです」という回答がでてくるんです。多分、こうしたパターンになってしまうのは、いくつかその根にある思考が見え隠れしています。

・お客さまの要望は実現してあげたい
・お客さまにノーとは言えない、言いたくない
・ノーと言うとで関係が悪くなるのではないかが心配


こういった理由というか、見積もりの契約で商売を始めているのにそれを自分で蔑ろにしている行為は我儘と同じなのですよね。自分がそれを言うのが嫌だから、言って交渉をするより言わないで対応した方が楽だから。そうしたことが本来やらないといけないことより先に出てきている時点で、お子様なシステムエンジニアです。


まぁ、でも、1から10まで契約書で薙ぎ払うのもスマートではないですよね。いや、武骨でもいいんですが。穏やかに行けるのならそれに越したことはないです。じゃあどうするか。


一旦は「受け止める」んでしょうね。一旦は。何をしたいか、まずはそれを聴くんですね。その上で、なぜ、今になって追加や変更の要望が出てきたのか、それの背景にあるわけを聴く。お客さまの上司からかもしれないし、ほんと、タダの思い付きかもしれないし、誰かの横やりかもしれない。


それを聴いたら、見積もりのスコープの中で等価交換できるものがないかを探すんですね。そのためには、影響調査や手戻の工数を見積もらないといけないですが。あと、望んでる結果に近いものが得られそうな次善の策を考えるんですね。


そうした何らかの回答を準備することでゼロ回答は避けるんです。こうした別の手段を用意することでソフトランディングを着地点を探すんです。でもなぜそこまでやるかと言えば、それをしないとお客さまも行ったて前どうにかおさまりを付けたいわけです。それで、やる・やらないの判断をつける、と。


実は、こういった交渉の端くれを上流工程でやっておくと、あとあとのテスト工程での不良に対するお客さまの姿勢の片鱗を知ることができます。割と細かいとか、大雑把すぎてかえって不安になるとか、無茶を言うとか。


こういった正攻法が嫌なら、別のアプローチをとる他ないですね。どうするか。もう、物事をの進め方を全部二択にして選ばせるんですね。A定食かB定食から選んでください、って。一切、お伺いしない。先に仕様をみせて選ばせる。これはこれで先回りして準備をしておかないといけないし、日々の刷り込みは大事です。だって、二択以外からは選べないと思わせなければいけないんですから。


あなたの得意なアプローチは、前者のアプローチが誠実なホワイトだとすれば、後者は狡猾なブラックでしょうか。それともホワイトとブラックを織り交ぜたグレーでしょうか。


それとも一方的に聞くだけのしもべなのでしょうか。