アラフィフなシステムエンジニアの進路相談


真夏の陽の高い時間にブラインドで陰った会議室の中で白い天井を仰ぐ。


これからの自分の身の振りをどうするか。


いや、御心配なく。いまのところ仕事の失敗で怒られたわけでもないし、明日からの仕事探しをしないといけないわけでもない。逆に、今の仕事に対する気持ちやこれから何をしていきたいのか、とても前向きな考え事の方なので。


今のまま、仕事を続ける選択もできるし、最前線の仕事を希望することもできる。選択権というか希望を言える立場ではあるけれど、そういう状況になるとこれまた色々と雑念が混ざりスパッと腹が決められないだけの話。


まだもやもやして機会とリスクが判然としないだけの話。即答を求められているなら選択肢ごとの損得とリスクを評価すればいいだけの話なんだけれど、ことが自分のことになるとどうにも曖昧にしてしまう甘さというか弱さが。


今の歳を考えると、10年後、15年後のための種まきをしておきたいという思いもあるけれど、それはそれでどうなるかわからない。その種まきも選ぶ選択肢によって大分投入できるリソースが変わりそう。まぁ、それはそれで。


エライ人との話は終わって、出口に向かいながら寄ってきて耳元で囁く。

「こういった第3の選択肢もあるよね」


ううん、それって、それって。


「(それ、巷では「エバンジェリスト」って呼ばれるお仕事ですよ)」と内心思うけれど、ワタシが何を伝道するというのだろうか。このエライ人は買いかぶり過ぎだ、と思わなくもない。いいや、手持ちのコマを高くアピールさせるのが上手なだけなのかも。


今のままならあまり何もしなくてもいい、のかな。ただ、何時でも方向性は問われるのだろう。最前線に行くなら自分を売るものを持っている必要がある。しかも、希望する戦線に先鞭をつけておく必要もある。さらに自分を買ってもらえるように需要は自分で作らないといけない。そして提示された第3の案は、売るモノを作らねばならぬ。


10年後、15年後を考えると、実は第3の案は魅力的なのだ。売るモノ、コンテンツを作り、売ればいいのだから。そしてそれは、自分のしたい種まきと一致する。


うーん。50歳近くなって悩むとは思わなかった。うそ。わかっていたし、日頃から先々どうしようかとぼんやりと思案していることなんだけれど。


こういったことは外野がかってに決めてくれた方が楽なんだよね。でも、それではダメなんだよね。特に種まきのところにつながるところが。自分で考え、選び、修正していかないと。


年齢だけは重ねているけれど、精神年齢はどこに置き忘れてしまったのだろう。まったくもって、アラフィフなんてすごくないじゃない。