シス変にドラマチックなトラブルシュートは要らない
「なれる!SE (13) 徹底指南?新人研修」読み終わりました。相変わらず面白いのでオススメしておきますね。
そーか、研修期間は1月なのか。まぁ、そうだよねぇ、スルガシステムはベンチャーだもの。でも、本当にベンチャーなら「新人を10人もとるかなぁ」とも思う。少なくとも、ワタシがベンチャーなら即戦力を必要とするだろうし、スルガシステムが割と大手と取引している状況からキャッシュフロー上の問題はなくてどっちかといえば、安定した財務体質なんだろうなぁ。社員も100名近いくいてもおかしくないのでは、と思ったり。根拠はなく50人規模くらいなのかな、とか思うけど。
工兵くんが技術からマネジメントにテーマが移ってから、工くんのメンター、つまり、相談相手が橋本課長に変わりましたね。忙しいそがしいと言いながら橋本課長と新橋あたりで飲んで相談できるということは工兵くんの仕事が早いのか、それともスルガシステムの根はホワイトなのか、って思っちゃいますが。
そうそう、橋本課長が上から求められているのは部下を業務にはめること、みたいな意図の助言を工兵くんにしていますが、あれですね。これもときどき書いていますが、
「マネージャは与えられたリソースを使うこと」
が仕事の本分なんですよね。だから、何があっても部下のせいにしてはダメなんだと思っています。あー、コンプライアンス違反とかイリーガルなのは味方になってあげられないけど。
ところで、小説の中でシステム変更、いわゆる「シス変」作業をやるシーンがでてきますが、期待どおりにトラブります。これ、作業対象の環境に関わらず、しくるとほんとあとあとが面倒になるので慎重に準備を進めたい作業の一つですよね。
このシス変の作業でなんらかミスるのが王道のような気がしないでもないですが、でも「どの環境でミスるか」が大事なんですよね。なれる!SEでは、その環境の扱いはこんな感じに読めました。
項番 | 検証環境 | ステージング環境 | 本番環境 |
インフラ | 開発扱い | 開発扱い | 本番扱い |
LB(ロードバランサー)は高いので、ーそれでもステージング環境用と本番環境の2環境を用意できるのは大したものですー、本番環境のみだってありえるんですが、ECサイトの重要性からでしょうがステージング環境と本番環境の2環境があるようです。で、ステージング環境はインフラとしても「開発環境」の扱いなんですね。
でも、検証環境、ステージング環境、本番環境とあった場合、環境を使用するのは同じなのにアプリとインフラで環境の意味合いが変わる場合があるんですよね。
項番 | 検証環境 | ステージング環境 | 本番環境 |
アプリ | 開発扱い | 開発扱い | 本番扱い |
インフラ | 開発扱い | 本番扱い | 本番扱い |
違いは、インフラから見たときの「ステージング環境」の扱いです。アプリが本番環境と同じプログラムを乗せ、機能確認するための環境なのでインフラは本番環境と同じにしておけ、というやつです。で、場合によってはエラーメッセージの監視通知もしていたりすると、ステージング環境に対するインフラの作業のミスがお客さまに連携されて「なにやっているの」と速攻でツッコミが入るヤツです。ああコワイ。
で、話を元に戻して「どこでミスるか」です。答えは「検証環境」一択ですよね。もう、そこでしか間違えられない。
ところが、多段階の環境があると「本番環境でミスらなければいい」とか思うメンバも出てくるし「そんなことは言わなくてもわかっているだろう」なんて思っていると、環境の違いなんて全く気にせずに「間違ったら直せばいんでしょう」なんていうメンバも出てくる。
厄介なのは、環境ごとにコストの制約から論理機能として省かれているものが出てくることです。とくにLBなんて高いものですから検証環境になんてあるわけがない。ステージング環境に相乗りさせてもらえていたらラッキーでしょうか。機能検証ができる点においては。
じゃあ、ミスは検証環境でするとして、じゃあ、手順の作り込みだけすれば大丈夫といえば、全然大丈夫じゃない。というか、経験的にそんなの全然だめ。失格です。
検証環境でミスを吐き出して作り上げるのは、シス変全体の作業プロセスを作り上げないといけない。作業プロセスは、正常だけでフローさせててはだめで、必ず、チェックポイントで確認対象を設け、確認点をクリアしていることを確認し、何かエラーがあれば、そこから切り戻し作業ができる作業手順まで実際にやった上で完成させる必要があるんです。
さらに、ここの作業手順は、手順ごとに作業者が考える手続きがあってはいけない。そんなの認められないです。作業して、結果を見て、続けるか、戻るかの判断が明確にできるようになっていないとけないんです。なぜなら、考える手続きがあると、作業者によって考える結果に違いが出てしまうから。
これを徹底的に何度でも言い聞かせてメンバに作業を確立させないと、ワタシは怖くて本番環境のシス変なんて作業許可だせないです。