SE相談室「この見積もりでいいですか」

提案リーダ「いまいいですか。例の提案なんですがこれでいいでしょうか」
ワタシ  「あーちょっと待ってね。このメールをポチッと。はい、なんだっけ」
提案リーダ「見積もりです」
ワタシ  「あ、本体とは別のサブプロジェクトの提案でしたっけ」
提案リーダ「そうです」
ワタシ  「あれ、これどんな提案内容なんだっけ」
提案リーダ「サーバを立てて、コミュニケーションツール入れて設定します」
ワタシ  「そうなんだ。えっとそのツールはデリバリーの実績あったっけ」
提案リーダ「いえ、ないです。パートナーにお願いしようと思っています」
ワタシ  「リーダは誰を予定しているの」
提案リーダ「インフラチームの…あ、あそこに座っている…」
ワタシ  「(あぁ、あの人か…)そ、そうなんだ」
提案リーダ「で、どうでしょう」

ワタシ  「パッと見たところだけれど、ダメだね」
提案リーダ「どこがですか」
ワタシ  「全部」
提案リーダ「そんな、ひどい」
ワタシ  「ひどいのは提案仕様の方だよ」
提案リーダ「どこがひどいか教えてください」
ワタシ  「まずね、何を作るかわからない。ツール導入だとしても、どんな扱いの環境なのか、サーバ構成は何台なのかわからない」
提案リーダ「開発環境なんですよ」
ワタシ  「だから、聞かれて答えないとわからないじゃない。そういう提案仕様じゃだめだんだよ」
提案リーダ「わかりました。書きます」
ワタシ  「それに」
提案リーダ「まだあるんですか」
ワタシ  「全部にダメ出ししたんだけれど」
提案リーダ「え…」
ワタシ  「作業内容が曖昧。何をしたらこのツールは使えるようになるのよ。って言うか、どういった状態で引き渡すの、これ」
提案リーダ「開発者向けに使えるようにして渡します」
ワタシ  「ふーん。じゃあUIのカスタマイズとかするの」
提案リーダ「いやーしないですよ。そんな費用積んでいないです。標準インストールです」

ワタシ  「それ、どこに書いていあるの」
提案リーダ「いえ、どこにも」
ワタシ  「書いていないことをワタシに理解しろというの。お客さまにも同じことを言うのかな」
提案リーダ「いえ、説明しまます」
ワタシ  「それじゃダメだね。お客さまは都合が悪くなったら忘れる種族だよ」
提案リーダ「なんですか、その忘れる種族って」
ワタシ  「例え。君らは書いていないことを口頭説明したと言い張ってお客さまと争いたいの」
提案リーダ「いえ、争うなんて」
ワタシ  「でもさ、プロジェクトがうまくいかなくなったら、この提案仕様で裁判するんだよ」
提案リーダ「…」

ワタシ  「つぎ。何これ」
提案リーダ「役割分担です」
ワタシ  「書いた努力は認めるけれど、作業内容が曖昧かな。誰が何をするという条件をしっかり線引きしないと」
提案リーダ「曖昧でしたか」
ワタシ  「曖昧だなぁ」
提案リーダ「つぎは」
ワタシ  「作成物だけど」
提案リーダ「はい」
ワタシ  「これ、本体のプロジェクトの作成物と同じレベルで作るつもりでしょ」
提案リーダ「はい」
ワタシ  「でも、そのことどこにも書いていないね」
提案リーダ「あっ」
ワタシ  「本体のドキュメントフォームを流用して、記載レベルもそれと同じ前提にするならさ」
提案リーダ「はい」
ワタシ  「それが工数の見積り根拠の1つじゃない。だったらその前提を書かないとね」
提案リーダ「わかりました」
ワタシ  「また、後でくるのかな」
提案リーダ「すみませんがお願いします」
ワタシ  「いつでも」