これでメンバの引き継ぎ作業のコストを無くしました
プロジェクトならメンバは工程のタイミングで参加と離脱をしますね。参加するということはプロジェクトのそれまでの情報をキャッチアップする必要があるし、離脱するということはメンバ固有で持っている情報は残るメンバに引き継がれないといけません。
事務処理のような定常業務だと処理手順を決めておけば誰もできるので引き継ぎは不要になりますが、プロジェクトだとそうはいかないものです。ではどうしましょうか。
日頃の作業自体を記録するプロセスを組み込むのです。「なんだ当たり前じゃないか、記録を残させればいい」と思ってしまった人は多分自分がプロジェクトマネージャやSEリーダとなったときに苦労すると思いますよ。思うというより確実に苦労します。
人は強制されると反発する生き物です。ところが自分が関与して決めたことは守ります。この性質を活かさない手はありません。どうやって活かすか。それは作業プロセスの中で「経緯を残す」手段をプロセスの中に組み込むのです。
1.ツール選定はアクセスするまでの手間が少ないものを選ぶ
TiDDで使うようなチケットシステムを用意します。Webシステムでブラウザでアクセスでき、1クリックで内容を確認できるツールがオススメです。excelのようなファイルでは保存しているディレクトリへの移動とアプリケーションの立ち上げと内容を閲覧・更新するだけでも手間が多すぎます。面倒は少ない方が良いのです。ツールを選ぶ際には、そうした情報へのアクセスまでの少ないものを選択基準に選ぶと良いのです。
2.経緯を残すことは1ヶ月後の自分の為というコンセンサスを作る
プロジェクトだとそれまでの経緯が必要になるのは機能検証であるテストで「なぜその仕様となったか」という記憶の不確かさを払拭したくなるときになってから、なのです。
30分でよいので、メンバと実装やテストのときになって仕様を決めた経緯を調べたことがなかったかを話してみましょう。だれでも1度や2度あるものです。そして、その経験をしたときに経緯は残っておらずあっても結果だけが仕様書として残っていたります。
特にID体系や例外処理でなぜそのようにしたのか考慮がわからないときに困るのは将来の自分達だったりするのです。
同じ経験をしたことを共有することで一体感が生まれるのは同じ境遇であることから生まれます。そうした場を作ることでチームとしてのコンセンサスを作り出すことができるのです。
3.チケットを作成しないと作業をできなくしてしまう
やりたいことは作業をするたびに経緯を残すことです。それにより将来の自分が過去の自分に対して言っておけばよかった一言を言わずに済ますことができます。
作業を確実にするためには無理強いをせず、自分のために、軽微な作業で仕組みを作ることです。
とは言え、精神力だけでは対応するメンバにムラが出てしまいます。やるなら100%とは言わないまでも80点くらいは取りたいものです。そこで、経緯を残すための仕組みを作業プロセスとして組み込みます。作業プロセスとして組み込むということは「それをしないと作業が進まない」ということです。
WBSを作ったらそれ自体をチケットシステムに登録するか、連携して取り込めるようにしておきます。どうしても切り離さざるを得ないときは、WBSをメンバが担当することをアサインした最初にチケットを作成することを作業の1番目とします。つまり、チケットを作成しないと作業自体が進まない状況を作り出します。
4.メンバの前でチケットを確認する
一番良いのが朝会などでメンバにWBSをアサインする-メンバ自身がWBSを選択する方がより良いですが-一番最初の書き込みをしてしまうことです。それ以降、報告はそのチケットをメンバで見ながら作業の進め方を検討したり、完了を確認していきます。
プロジェクトチームの他のメンバが自分のチケットを見て作業を確認していく仕組みが出来上がると自然とチケットを更新するようになるし、お互いに更新していることに注意を払うようになります。こうした心理的を上手に生かすためには、更新を忘れていたメンバがいたときにはメンバにその場で更新することを促すことを繰り返すのです。
こうしたプロジェクトチーム全員で守らないと効果を得られないようなことは、見逃してはいけないので定着するまで一貫して継続する必要があるのです。