効率の良い仕事とはなんだろう


定時に帰るなんてシステムエンジニアには都市伝説めう。なんて言いたい人は多いのではないかしら。


定時に帰るためには、納期までに仕事を終えないといけないし、作ったプログラムはバグが出ないようにしないといけないし、サーバは落ちないようにしないといけない。


でもですね、全くできないわけじゃないんですよ。定時に帰るように仕事をするのって。まぁ、プロジェクトの計画段階から工数が一人あたり1人月以上積んであったら話は別かもしれませんが。


どちらにしても、仕事を楽しんでやるやり方は自分で身につけておかないと身動きができなくなるのでこれはこれで身につけておきましょう。


1.効率とはなんだろう
普段何気なく使う効率という言葉の意味はなんだったか。そう思ったら調べてみる。調べてわかることに労力を惜しんではいけない。記憶に残っていたら次は辞書を引かなくていいのだから。

こう‐りつ〔カウ‐〕【効率】
1 機械などの、仕事量と消費されたエネルギーとの比率。「―のよい機械」「熱―」
2 使った労力に対する、得られた成果の割合。「―のよい投資」


機会というリソースを人的に置き換えれば1でもいいし、でもここでは2番目の意味が適当かな。労力は労働時間だから、掛けた時間で作成した成果物の割合がシステムエンジニアの効率の意味となるのだね。


労力の母数を1人月とすれば、ある成果物を作るのにどれだけの時間を費やしたかその時間が指標になる。


ただ、掛けた時間が少なければ効率が良いのかといえば、成果物によって違いが出てくる。例えば議事録を作成するにしても、チーム内のメモ程度のものと偉い人がたくさん出てくるようなリリース判定会議のような議事録ではかかる労力が違う。


そうすると、掛ける時間*成果物の式のうち時間は定量化できるが成果物は定性的な性質を持つことになる。ここが落とし穴になる。


かつて、システム開発の生産性を計るとき、ドキュメントとソースコードの行数を生産性の指標として設定していた…今も延々と生き延びているのかもしれないけれど。


それはさておき、効率的な仕事を考えるとき議事録ひとつとっても定性的な変数を持つので一概に物事を言えないとなってしまう。


では全く定量的に仕事を効率で測ることはできないのかといえば、できなくはなく、基準となる仕事を定義すれば良い。先の議事録なら、プロジェクトしての様式なら1時間以内で作成して配布し終わる、など。


つまり、成果物に対して標準時間を作るところから始めないといけないということになる。それをチームの中で標準指標として設定するがメンバの経験の差でばらつくことは許容する。その上で、時間短縮の工夫をする。それが効率の良い仕事に結びつく。

く‐ふう【工夫】
[名](スル)
1 よい方法や手段をみつけようとして、考えをめぐらすこと。また、その方法や手段。「新しい方法を―する」
仏道修行などに専念すること。特に禅宗で、座禅に専心すること。


工夫の意味はここでは1番目が適当かと。議事録作成で会議後に1時間かかるところを30分に短縮する手段を見つけられれば工夫したことになり効率的な仕事をしていると言える。例えば、議事進行中から議事のメモを打ち込み、会議終了直前に出席者に記載内容をその場で確認できれば議事録作成にかかる時間は会議後の確認のための時間だけになる。


1.成果物を定義する
2.仕事の標準時間を設定する
3.工夫する


効率の良い仕事とは1があってのことで1がなければ単なる要求側の願望にすぎない。チームの中では立ち上げときやタスクの最初のケースのときに中間のレベルのメンバにやってもらうのがいい。


それを何度かやってサンプリングをして標準時間をチームで設定する。スキルレベルが高ければ実際は少ない労力で成果を得られるだろうし、経験が少なければ標準時間以上にかかることがアサイン時から想定できる。その上で、工夫をすることで全体の効率化を図る。


つまり、最初から効率のいい仕事なんて存在しないのだ。