先輩、会議資料を送っちゃいますよ

「あの、明日のセッション資料を先方に送付しようと思いますけど、明日の資料のディレクトリの資料は大丈夫ですか」
「ありがとう。全部目を通してあるから大丈夫よ」
「じゃあ、事務局宛に送りますね。zipして…と」
「あ、そうそう。zipしたでしょう。zipしたファイルの名前どうなっているかしら」
「え、圧縮ファイルの名前ですか。…っと、圧縮ファイルの資料名がついていますね。このままだと拙いですか」
「見せて…これだとちょっと拙いわね。会議体と開催日に変えてもらっていいかしら」
「はい、会議体と…日付と…これで…送りまーす。ぽちっ」

「あの、今の圧縮ファイルのファイル名を変えたのどうしてですか」
「圧縮するときに、圧縮したzipファイルって圧縮するファイルの中からとか圧縮するフォルダのファイル名が自動でついちゃうでしょう」
「そう言えばそうですね」
「ほら、ひとつ一つのファイル名の名前のつけ方を決めているでしょう、資料の標題、タイトルね、それをファイル名に入れましょうって。フォルダだと会議体のときもあるわね。」
「ええ」
「そうするとね、生々しいタイトルがzipファイル名に入るときがあるじゃない。それがケースによってはよくないわと思い出したのよ」
「どういうことですか」

「前にね、社内の資料をzipして送ったときにファイル名がzipファイル名になってね、それで送付先から注意されたの」
「ファイル名のことなんでしょうけど…何だろう」
「社内秘の資料名がzipファイルになっていたのね。ファイル名で秘密の情報だとわかってしまうでしょうって」
「いやいや、会社の資料は全部秘密扱いじゃないですか」
「それなんだけど、わざわざ秘密だとラベルを示す必要もないだろうって」
「でも社内宛じゃないですか」
「普段から気をつけたほうがいいよ、とね、教えてくれたのよ。わたしはそう受け止めたわ」
「そういうことですか」

「あとね、文書ファイルのプロパティに作成者とかの情報が残るでしょう。あれも注意されたことがあったわ」
「テンプレートを使っているから別に気にしなくてもいいのでは」
「テンプレートがそういった情報をクレンジングしてあると信じ込むのもちょっと危ないわよ」
「そんなことを言ったらテンプレート使いにくくなっちゃいますよ」
「前にね、テンプレートを過去のプロジェクトから流用したらプロジェクト名称が入っていて驚いたことがあってね、とっても焦ったわ」
「勘弁してくださいーー、って感じですね」
「お客様によっては注意している方もいるから」
「そうですね、今セキュリティの関心は高いですしね」