正しい目標の使い方


「あの、プロジェクトマネージャやってみたいんですが」
「嬉しいこというね。いいね、ぜひやってよ」
「今度、新規の案件があったらやらせてくださいね!」
(案件の特性あるしなー。それにキミ、プロマネできるqualifyあったかな)
「そうだね、キミができそうな案件が取れるといいね」
「やらせてもらえるんですか。やったー」
(約束しているつもりないけど)


「いまのプロジェクトではどこのロールにアサインされたんだっけ…担当SEだったかな」
「はい、そうですよ」
「じゃあ、まずはリーダの経験積まないとね」
「チームではリーダぽいことも頼まれてやっていますよ。大丈夫です!」
(プロジェクトはビジネスだから、PMとして必要なスキルセットのqualifyを満たしていないとなぁ)


「そうか、プロマネにはキミにリーダの経験を積ませたいとリクエストをしていたから、そうしたワークを任されてるのか。なるほど」
(あとでPMに状況を聞いておこう)
「そうだ、ひとつ教えてよ。担当SEとリーダの違いって何か気づいたことある」
「担当とリーダの違いですか。そうですね…メンバの作業の進捗を確認したり、レビューしたり、とか」
「そういう仕事、どう思う」
「自分の仕事もやらないといけないし、メンバの面倒もみないといけないので作業は増えましいたが楽しいです」
「へぇ、楽しいって、いいねぇ。それはいい」


「じゃあさ、いまやっている仕事とリーダの仕事との差って何があると思う」
「仕事の差、ですか。ブロック全体の運営とかお客さまとのレビューとか他のチームとの交渉とか…」
「それ、どういうスキルがあるとできると思う」
「えっと、それスキルマップのことを指して言っていますか。そうだとすると基礎スキルのコミュニケーション能力とか技術スキルのレビューの技術とか」
「そうだね。そういったスキル、意識して仕事しているかな」
「…いえ、全然できていないです」
「一度に全部意識してなんてできないから、今週はこれ、とかね。このタスクはこれを意識して、とかね。そうやって仕事をするといいと思うよ」
「そうなんですか」
「ワタシもね、交渉力の勉強をしたあと、意識して仕事をしたことがあってね。そういうことかって腑に落ちたことがあったからさ」
「やってみます」


(思い出した。キミにはリーダにステップアップする段階だったんだっけ)
「そうそう、目標管理のテーマ、もう一度みてごらん。リーダに必要なスキルのうちの幾つかが今年の目標になっているはずだから」
「そう言われれば、さっきのリーダに必要なスキルが目標だったような気がします」
「でしょう。それ、できるようになって。プロジェクトでキミのやり方でやりきって」
「ハイ」
「PMが期待している貢献をね、してね。そして次は本当のリーダをやってみよう」
「プロジェクトマネージャじゃないんですか」
「担当とリーダの仕事内容が違っているようにリーダとPMの仕事の差異を知ってからでも遅くはないと思うよ」
「でも…」
「急に、キミにプロジェクトマネージャをやって欲しいという案件が来たとき何をすればいいのかわからなくてパニクるよりいいんじゃないの」
「それは嫌です」
「プロジェクトマネージャとしての役割、実際に手を動かすためのツールとかね、勉強することがいっぱいあるよ。それをやっていこう。担当の仕事をしながら、リーダの仕事をしながらプロジェクトマネージャの仕事を横で勉強しよう」
「頑張ります!」