最初に頑張るとトータルコストが安くできる

「これ、様式が複数のファイルに分かれていますよね。分けておく必要性って何ですか」
「特にないです。そこまで考えていませんでした」
「運用を想定して欲しいのですが、様式がバラバラだと構成管理が大変な手間になりますよ」
「改善が必要ですね」


「あと、同じ様式が別のファイルにありますが、これまさか転記させるつもりはないですよね」
「最初に作ったシートをこぴーしてください。ほら、そう書いてあります」
「じゃあ、元のシートで誤記があったら全部修正しないといけないのですね」
「そうなります」


なにが「改善が必要ですね」でしょうか。ちょっと実務で自分で使うことを想像したら思いつくようなレベルです。まだリリースもしていないのだから改善もへったくれもありません。首の上についている脳細胞を使ってください。と、脳内で再生していましたがそこでスイッチを切りました。


例えば、ある様式があってプロジェクトなり組織なりで使うことになった、とします。その様式を記入するのに30分かかったとします。選択式でない自由記入欄が複数あると作文が必要になるので想像以上に時間が取られます。こういった様式特有のことを理解しながら帳票設計をしないとその様式を利用する人の時間を様式作りで部分的に占有してしまいます。


その様式を使用する利用者が1シートを作成するのに10人いれば300分だし、100人なら3000分です。それもすんなりと記入することができて、という前提があります。記入が曖昧な箇所があれば、迷った上で判断をここの利用者に求めることになりますから、30分では済まなくなります。


これは様式のデザインでのケースでの話ですが、このような標準化の作業は利用者の勝手を十分に想定して設計のデザインを検証しないと無駄な作業時間を作ってしまい、コスト増加の要因を作る片棒を担いでいることを理解して仕事をしなければなりません。


本来であれば、そうした観点に長けている優秀な人をアサインする必要があります。様式を作るだけだから誰でもいいや、みたいなことでアサインすると未経験による無知が振り回されるのでとばっちりが大きすぎます。そしてそのとばっちりはコストとして返ってきます。


くれぐれも、冒頭の会話を再現しないためにも優秀な人をアサインしてください。