システムエンジニアとお正月
ほら、起きなさいって。昨日の大晦日に夜更かししたからもう少し寝ていたいって。何言ってるのよ。わたしが作ったお雑煮食べたら初詣に行くのよ。
えっ、お雑煮よりわた…何朝からバカなこと言っているの。
起きなさい。
ふーん、起きないんだ。いいけれど、仕事始めは4日からだけれど、わたし、あなたに業務命令出せる立場だって覚えているかしら。あと30秒で起きなかったら年明けのタスクの中で一番システムエンジニアとしてやりがいがある炎上プロジェクトを探してきてでも突っ込むわよ。
ほら、もう、お餅が焦げちゃうでしょう。本当、起きないわね。よし、あれ持ってきちゃおう。冷凍庫の中から…このくらいの大きさでいいわね。ちべちゃい。えいよっと。
これが最後通牒よ。3つ待ってあげる。さん、にい、いぃぃちぃ。それ、背中に最終兵器を投入完了!うはっー、起きないとこうなるよの。
あっ、氷を投げちゃダメじゃない、周りが濡れちゃう。もう…起きなさいって。
え、こっち来いっだって、何様なの。
用事があるのはこっちなのよ。起きて1年の始まりの挨拶をするの。
それから、お雑煮食べて、神社に行くの。それまでに今年1年の目標を考えるよ。なんですって、目標管理みたいで鬱になるですって。どうせ、すぐ年度が変わる時に考えないといけないんだから今日考えればいいじゃない。
思いつかないってことは普段からブロイラーのように目の前に出される仕事をつまんでいるだけってことよ。わかっているの。自分で自分の仕事を考えて選んで、意識して仕事をしないと成りたいロールにリーチ出来ないのよ。
そんな面倒なことは嫌だじゃないでしょ。将来どう考えているの。そろそろ、プロジェクトマネージャやってもらうわよ、今年は。嫌だじゃないでしょ。SEやってもう何年なのかしら。大体、わたしより本当は仕事できるじゃないの。それを上手く逃げて面倒臭いのばっかりわたしにやらせて。そのおかげで出世できたんだから…じゃないわよ。本当はあなたがしなきゃいけない仕事をわたしが身代わりになっているようなものじゃない。
ほら、起きようよ。お雑煮美味しくできたんだから。起きて、見て、食べて、早起きしたわたしを褒めてくれてもいい頃じゃない。
やっと起きた、顔洗って、着替えてね。
お正月だから、お神酒代わりにお酒を少しだけ飲もうよ。いいわよね。
ここの御節美味しそうよ。洋風の御節にしてよかったね。見て、ほら、このお店ディナー食べに言ったところなんだよ。覚えてる。どこかだって、もう、銀座じゃない。洋食が食べたいって言ったからそこに行ったんじゃない。
焼いたお餅を器に入れて、大根と京人参と地鶏のお雑煮にいくらを乗せて。三つ葉を寄せて。でき上がり、っと。
お待たせ。
明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。熱いところを食べましょうね。
食べ終わったら初詣行くんだよ。電車の中で今年の目標を聞くから考えておいてね。
わ、どうしたの、急にむせて。
お正月早々餅で喉を詰まらせるなんてやめて。そんなトラブルシューティングしたくないんだから。
はい、こっち向いて。はい、オーケー。
今年も大丈夫かしら。