プロジェクトマネージャだってちょっとだけやってみる
ちょっとだけやってみる。これはある意味、魔法の言葉です。何がいいかって「ちょっとだけ」がいいのですよ。ちょっとだけ。ちょっとだけやってみて、もしダメそうならアプローチを変えてみてもいいし、やめてしまってもいいのですし。
仕事なんてやったことがない方が面白い
仕事でやることなんて経験していることを繰り返すよりは、初めてやってみる方が面白いです。「いやいや、そんなことない。だって初めてだと試行錯誤しなければならいじゃないか」と思ったエンジニアもいるかもしれないけれど、そういうエンジニアだってこれまでその人にとって散々新しいことをやってきているのです。もし、本当に嫌なら仕事続けていないですよね。
どうしてやったことがない方が面白いか。それは、学びがあるからです。自分なりに理解したことを自分なりのやり方で実用できるようになる。そこでできるようになる経験が「面白い」と感じるのです。
プロジェクトマネージャだって初めてなことばかり
プロジェクトのリーダであるプロジェクトマネージャはそのプロジェクトで計画するアクティビティ、つまりWBSを経験しているかといえば、そんなことは全くないです。
ひとつには、プロジェクトの言葉の定義にあるように、プロジェクトは唯一無二の有期限性の業務だから。
ふたつ目には、プロジェクトマネージャ自体が専門職で、プロマネのスキルがあればよくて、プロジェクト特有の適用技術、業務知識などはそうした知識やスキルを持つメンバを調達すればいい、という設計になっているから。まあ、このあたりは、日本で多いプレイングマネージャのようなプロジェクトだとコスト面で成り立たないですけど。
とはいえ、ひとつ目のプロジェクト自体がこの世に存在しないから、過去に似たケースがあったとしても、そのプロジェクトとしては初めてなのです。
だから、
「これ、同じように実装できるかわからんな」
ということがあちらこちらで起きるのです。
ちょっとだけやってみるはリスクコントロール
理想のことを言えば、プロジェクトの外、つまり、前でそういった初めてものについてはピックアップしてフィージビリティスタディで実現性を検証しておくのが良いのです。理想を言えば、ね。
事前の策として、プロジェクト内検証を組み込む計画を立てることです。もちろん、フィージビリティスタディと比較すれば、プロジェクト内での検証になるのでその検証テーマの実現性がない場合、プランBをひねりださなければならなくなるのでリスクは高いです。
まあ、それでもそれをしないで方式設計するような博打よりはマシなわけですが。
プロジェクトマネージャだってちょっとだけやってみる
なので、兎に角、実際に必要になる前の工程、それもできる限り前の方でフィージビリティスタディをするのです。
これは、プロジェクトマネージャ自身が感じるプロジェクトの不確定要素を切り出して、それの実現性を検証するというアクションです。
その点で言えば、これはプロジェクトにとっての初めてでプロジェクトチームが学習するというチームの経験知を増やす格好のイベントです。
言い換えると、このちょっとだけやってみるは、リスクのある橋を渡るためにコツッと叩きながら進捗を進める、ということもできます。
プロジェクトマネージャの仕事はプロジェクトの目的を達成するためですから。

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