プロジェクトなのに1年間ほぼ残業ゼロを実現するためにしたこと
ライフワークバランスとか働き方改革とか長時間労働時間をブラック認定する世情とかが今の流行りの世の中だけれど、相変わらずエンジニアの日常は数時間の残業をすることをデフォルトで作業見積もりを立てているのはどうしてなんだろう。
いや、コスト見積もりは定時で見積もっているけれど、作業工数の計画は残業する前提で無理やり押し込んで溢れさせているとしたら、問題はプロジェクト側にあるのではないだろうか。
契約とプロジェクトマネジメント
これは契約の都合もあるのだけれど、残業をされても追加支払いができないから間接的に残業をしないでほしいとオーダーをいただいているプロジェクトがあったのです。
追加契約をしないことが前提になりますから、受託側から追加費用を請求しても支払いはされない(請求してももめるだけ)なので、プロジェクトコストをマネジメントする必要が出てきます。
エンジニアに対しては残業をしないようにワークのコントロールを求めることになります。
ここでエンジニアがやってしまいがちなのは、良かれと思って計画コスト以上に仕事をしてしまったり、エンジニアが工数より少ない成果でよしと判断してしまうことです。
問題なのは判断に顧客合意がないことです。良かれと思って計画コスト以上に仕事をしてしまうとある意味紳士協定で費用請求をしないことになっているのでプロジェクトコストはオーバーランすることなりますし、それはやってしまった後でしかプロジェクトマネージャは察知できません。顧客もコストオーバーランをした成果を標準工数のパフォーマンスと誤認識するとプロジェクトとしてはその誤認識を訂正しなければなりません。
エンジニアの独自の判断で工数より少ない成果でよしとしてしまうと目標としている計画に到達しないことになり、予実の較差の原因究明やキャッチアップの策を検討する場合もあり、これまた余計なコストを後につけ回す可能性を持っています。
まあ、プロジェクトマネージャ自身がこうしたことを予見した上で、エンジニアのワークをコントロールする責任を履行しなければならないのですけれど。
作業の可視化
このような契約の場合、エンジニアがしなければならないことは持っているワークロードの面積に対する予定作業がどのくらい占めているか明示した上で、プロジェクトマネージャや顧客と合意することです。
作業可視化でエンジニアに求められること
ただ一つ。作業見積もりをする際のエンジニア自身のスキルとレベルを自身が適正に評価することです。
予定している作業で活用する自分のスキルとレベルを甘く評価すれば必然とスケジュールオーバーランを引き起こし、コストオーバーランも起こします。
厳しい評価は、計画値を多く積み上げすぎる傾向にあり、計画時点で到達したい目標まで未達になり、これはこれで工夫という無駄で余計な作業に結びつきかねません。
仕掛品で軌道修正できるようにコントロールする
こうした策も作業を着手してから完了するまで放置するとエンジニアに染み付いた残業を前提とした日常に戻ってしまいます。
これでは色々と顧客と握ってもパーです。そうしないためにも途中の成果を見せることで顧客からの要望の変化の対応を検討する時間を確保したり、進めていて発見した課題の落とし所を顧客を巻き込んで調整したりすることが必要です。
顧客は形になったものでしか判断がつかないので、手書きのデザインでも、パワポのスライドでも、考え方の方針であっても、そうした途中経過のものを見せて意見を吸収しながら場合によっては計画のピボットを合意をしながら進めるやり方を採用することも工夫の一つです。
エンジニア側起因の計画のピボットは推進上の課題解決の意思決定で生じるものです。これも課題として共有して顧客を巻き込むことで合意プロセスを根付かせることができます。