メンタルで壊れたエンジニア
ある部署のマネージャの辞令が出たので、翌月初に職場に行きます。当たり前ですね。新しい職場でのお仕事なのですから。
そのオフィスは以前のオフィスとはそれほど違いのない、その組織の社員にとっては普通のオフィスだし、そのフロア自体他のフロアとそれほど違いは感じなかったのです。
ただ、メンタルダウンのエンジニア複数人が部下になった、ということが違いでした。
人事部門から
呼び出しというよりは情報共有のための打ち合わせの場を持ちましょうとメールが届いたので、打ち合わせの日時にご指定の会議室にお伺いするわけです。人事部門には顔見知りがいるのでそれほど遠い存在の部署でなかったのは身構えるハードルがずいぶん下がりましたが。
メンタルダウンのエンジニアの状況、対応方法などの情報を聴きながら感じたことが一つあったのです。
「(メンタルになったエンジニアは大変だ…)」
人事部門から伝えられた情報共有の中で一番重要なことは、人事部もマネージャも
「専門家ではない」
ということです。これは行動指針としてとても重要なことです。
メンタルでない専門家でもない
少なくとも人事部門も当時の組織のマネージャであったワタシも当時はメンタルではない方の人である、というポジションにいることを認識しなければいけないのです。
考え方、行動、受け止め方全てが自分の状態にいるポジションで考えて判断してしまうのです。その上、人事部門やマネージャはメンタルの対処を知っている専門家ではありません。
なので、例えばメンタルのエンジニアと会うときに専門家ではないことを忘れずに、脊髄反射でそう言ったことを配慮をせずに言葉を返すことは避けなければなりません。
復帰プログラム
療養の状況が良好で且つ産業医が合意すれば現場に復帰するためのプログラムが始まるのはどの組織でも同じでしょう。
・最初は職場に通うことに慣れること。
・次は、順次就業できるように慣れること。
定期的に産業医のチェックが入り、最終的に復帰可能と認められて初めて職場に戻って来れます。
お帰り
職場に戻ってくるという意味合いでは「お帰り」ですし、一緒に働くという意味では「初めまして」ですが、その前の復帰プログラム中に会い、会話をする機会があるのでどっちも、なのですが。
目の届くところで
メンタルでない病気からの復帰であっても長期療養からの現場の復帰であれば段階的に現場に戻すように、メンタルなエンジニアも段階的に戻すのが良いだろうと思います。
ただ、SIプロジェクトのようなスケジュールのプレッシャーが高い仕事に従事させることは加減がコントロールできず、とてもリスキーです。
プロジェクトでの業務量のアサインは加減できるかもしれませんが、
・プロジェクトマネージャや周りのエンジニアが専門家でないため復帰直後では不安が多い
・スケジュールのプレッシャーが高い業務は避けたい
・何より長期に渡り療養していたエンジニアは迷惑をかけていたから貢献したいという思いがかなり強い
というマネージャではコントロールしきれないことが多いのです。
なので、マネージャの目の届くところでのんびりと復帰して欲しいのです。ただ、メンタルなエンジニアはこちらが思っている何倍もの引け目を感じて現在の状況を超えた成果を出そうとするのです。
復帰できるエンジニアもいるし、できないエンジニアもいる
経験値から言えば、復職できるエンジニアの方が少ないという現実があります。ただ、復帰できるエンジニアもいるのも事実です。様々な理由でメンタルが壊れたと判断されたエンジニアは少なくないようです。
メンタルで壊れたエンジニアを増えてしまうと
ここに怖い将来があります。それは何かというと、メンタルで壊れてしまうと長期に療養が必要となります。そして幸いにも復帰する壊れたエンジニアより復帰できないエンジニアの方の割合が多いのです。
また、メンタルで壊れてしまったエンジニアは毎年新規に増えているという事実もあります。そうです。年を経ることにメンタルで壊れ復帰できないエンジニアが積み上がるのです。
そう言った自体は避けたいです。できることは壊れるエンジニアをこれ以上作らない仕事の仕方を作ることです。それこそマネージャの仕事なのですが。

- 作者: リチャード・シェリダン,原田騎郎,安井力,吉羽龍太郎,永瀬美穂,川口恭伸
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2016/12/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (1件) を見る