悪意を持った○×△の使い方
普段、お仕事で資料を作るときに物事を評価することはよくあると思います。評価する対象を列挙して、評価項目を設定し、評価対象の評価項目毎に評価をします。
実際に表にすると以下のようになります。
|評価対象|評価項目1|評価項目2|
|評価対象A|○ |× |
|評価対象B|△ |○ |
|評価対象 C|○ |○ |
普通に、普段から使用している所謂評価表というものです。このなんとなく使っている評価表をよく理解しないで使用すると誤った判断をしてしまうことがあるのです。それはどうして起きるのでしょうか。
それでは先の表をもう一度見てみましょう。 この表の中で一番評価が良いものを選ぶとしたら評価対象のどれを選びますか。間違いなく全員が評価対象Cを選ぶはずです。なぜなら、評価項目1と2のそれぞれ両方が「○」の評価となっているからです。
|評価対象|評価項目1|評価項目2|
|評価対象A|○ |× |
|評価対象B|△ |○ |
|評価対象 C|○ |○ |←これを選ぶ
暗黙の評価基準
どうして評価たいしょうCを選ぶか、その理由は評価項目が「○」となっているからです。○という記号に暗黙で評価基準を脳内で設定しているからです。
そのような評価基準は、表の欄外に凡例として記号と基準を明記することで評価基準を明示化して評価表の結果を意図したとおりに伝える必要があります。
凡例 ○=良 △=可 ×=不良 ←凡例で評価基準を明示する
|評価対象|評価項目1|評価項目2|
|評価対象A|○ |× |
|評価対象B|△ |○ |
|評価対象 C|○ |○ |
明示しない評価基準のもう一つの罠
評価表に評価基準を記載しないことにより、評価表の読み手に対して誤った判断をさせることができます。
これは評価基準を記載せずに評価表を提示することで読み手が無意識に評価基準を補完して読むことを利用して読み手に対して誤謬を与えるのです。
下表は先と同じ評価表です。この表をみて良い結果の評価対象を選ばせれば、全員が評価対象Cを選ぶと予測できます。
|評価対象|評価項目1|評価項目2|
|評価対象A|○ |× |
|評価対象B|△ |○ |
|評価対象 C|○ |○ | ←これが良い結果
ところが、良い結果が評価対象Cの他にBも対象となるとしたらどうでしょうか。
|評価対象|評価項目1|評価項目2|
|評価対象A|○ |× |
|評価対象B|△ |○ |←これも良い結果
|評価対象 C|○ |○ | ←これはもちろん良い結果
どうしてそうなるのでしょうか。評価表を機能の充足性を評価する評価表として見てみましょう。機能の充足性ですから、表の評価としてはCのみが合格しそうです。
でも、Bも合格だとしたら何が得ている情報として間違っているのでしょうか。
|評価対象|評価項目1|評価項目2|
|評価対象A|○ |× |
|評価対象B|△ |○ |
|評価対象 C|○ |○ |
それは、評価基準と評価を表す記号がズレにより情報の理解で齟齬が生じしているのです。
評価基準の△を見ると無意識に何かしら一部が劣っていると思いがちです。ところが○が過剰な状態であったとしたらどうでしょうか。つまり、必要以上に満たしているという状態です。
○の評価基準に引きずられて△は充足しているとなっているとしたら、それは評価表の読み手は間違った判断をしてしまいます。
これは、評価基準を先に作らずに、評価結果を軸に評価表を作ってしまうと起きてしまう事象です。
読み手に暗黙で記号の評価を保管させないようにするためには、凡例で充足している記号を明示する必要があります。
下表に例を示します。
凡例 ◎=過剰 ○=満たしている △=一部不足がある ×=満たしていない
|評価対象|評価項目1|評価項目2|
|評価対象A|○ |× |
|評価対象B|○ |○ |
|評価対象 C|○ |◎ |
凡例を記載せずに資料化し、評価を行ったことを報告することは、読み手に誤謬させることを期待できるので評価を恣意的に誘導したい場合に使用することができるのです。
ああ怖い。実際にこうした資料を見たとき、会話しなかったら見抜けなかったし。
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