事業会社の IT部門の内製化は経営者が先送りするので進むわけがない

電車の中で読み始めたら乗り換えやらなんやらで読むにはちょっと読み直したほうがいいかと思うくらい理解しづらかったのは多分、読み手の問題だからどうでもいいのだけれど、事業会社のIT部門の内製化について「そうなるかねぇ」と思ったので。

 

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事業会社のIT部門の実際

まず、事業会社とはSIerと区別するために便宜的に使用します。SIerだってシステムを提供することを生業とする事業会社なので。いわゆる、ユーザ企業ということです。

(知っている限り)一般的な事業会社のIT部門は、ITの企画から運用までを一貫して当該会社のIT利用者に対してITサービスを提供するのが分掌です。

事業会社のIT部門がどんなITサービスを提供するかといえば、事業に必要な業務システムとそれを支えるバックオフィス系のシステム、あとは、ユーザが利用するOA系です。 

 IT企画が出てくると一見華やかに見えますが、実際はよく言われるように8割方は既存システムの維持とユーザサポートです。企業規模によっては、新規のIT企画なんてほとんどゼロだったり、業務システム自体が存在しない企業もあります。

嘘みたいですがメールとファクシミリと電話で事業が成り立っている会社も存在します。所属する自分の会社の業務システムやOA系の設備を基準にしていては世間とのズレを理解できなくなるので注意が必要です。エンジニアが属する会社やエンジニアが提供するシステムを利用する企業はITリテラシがある方だし、使わない企業やユーザから見れば異常なだけです。

話を戻して、そこそこのIT投資をする事業会社でさえ、維持管理とユーザサポートに時間が取られているし、予算もないしとなると慢性的にIT企画の社員はリソース不足です。

何せ、人数は数人、それも企業規模によりますが片手の前半やぼっちだって珍しくありませんし、酷いところになると総務や営業部門の兼務ということだってあります。そうした位置づけですから、常時人的なリソース不足です。

こういった会社では日常的にリソースが必要だと要望が上がっても、情報システムはコストセンターなので固定費ですから業績の足を数字的に引っ張るのでそうそう人をつけてもらえません。

ですから、戦略的に内製化の舵を切るとか、IT企画部門内で異動や中途採用によりリソースを確保しなければ内製化を進められません。

それより、現実的にリソース不足が慢性化していると確保したリソースをそっちに回せとなるのでそれを押し切ってまで内製化をすることを決裁権限を持つ役職が判断するかが難しいところです。

内製化を進める上でのハードル

 これはもう、ITが自分たちで一から教育も技術習得も実装も何もかもやれるノウハウがないので、これをどうするかにつきます。

現実問題として、既存の情報システムとユーザのお守りがあるのでそっちもやりつつだと内製化にリソースが回せるかどうかは難しいです。現時点でもリソースがないのですから。

それでも内製化するなら

 新規に人を育てることは先延ばしして、まずは中途採用でエンジニアを採用することから手をつけるしかないです。

一番いいのは、情報システムの開発運用をしている会社を資本的に囲い込むことです。教育する時間は投資なので、だったら教育する時間を買ってしまえ、という経営的な判断です。

自社の内製化のためだけだと過剰投資っぽくなるので、一部分の事業分割による買収にするのでしょうが。

 

 

内製化要員を育てることも投資で時間がかかりますが、買収するのも早々に結果を出さないといけないので経営者としては抱えなくてもいい経営上の課題を抱え込むことになります。

さて、それでも内製化するか、という話ではないかと。

 

 

 

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