下流工程ばかりやってきた50代SEはずっと穴を掘る

20代前半は仕事の仕方を覚える期間で、30代半ばまでには少人数でもチームを抱えて、40代半ばにはプロジェクトチームを従え、50代半ばにはプロフェッショナルとして活躍して欲しいなーと期待するのがマネージャというものです。そうだな、お父さん的な目線で見ている感じですね。見方を変えれば、鵜飼の鵜匠なのでエンジニアの方がたくさん魚を採ってきてくれれば褒めるのは当たり前です。魚は回収するけど。

50代SEに期待されていること

大の大人ですからね。それも50代なら仕切れて当たり前。30年もエンジニアで飯を食ってきているのだから、技術も専門性のエリアはプロフェッショナル。全部当たり前の領域で勝負していることを自覚すべきです。

もちろん、ちょっとコンサルぽい領域だって走りながら勉強して情報をインプットしつつ、周りにいる識者を動かしながら進捗させることを期待されるのです。

これは決して無理難題ではなくて、仕事の進め方、課題の設定の方法は身につけているのは当然として、じゃあ、今、顧客が抱えている課題を解決するための道具は、専門家も使いながら、対策を進捗させるために導く先導者として振舞うことが期待されているのです。

周りを巻き込んで自滅する

そういった期待値の上で、実際に50代のエンジニアがどのようなアプローチを取っているかというと、中堅エンジニアでもセンスのないエンジニアのアプローチを取ることが多いです。

 一担当してなら、決められた範疇でプログラムを書くとか、パラメータを設計するとか、実現仕様の実現性を製品仕様から整合性の裏を取るとかしてもいいし、するのが勤めだと思うのです。

でも、仕切ることを期待されてのポジションの場合はそれでは自滅します。50代エンジニア一人で自滅するのではなく、まとまってそれに関連する周りを巻き込んで自滅します。

なぜなら、興味を持った仔細な、技術的なところばかり掘り進んで進むため、議論をするにしても枝葉末節であまりにもスペシフィックで様々なケースの極一部だけを取り上げるので全体がどこに進んでいるか誰一人知ることができないからです。

地図もないのに穴を掘ってどこに向かっているか誰も知らないんです。本来は、掘ろうと声をかける役の50代エンジニアが先頭を切って興味のある方向に掘っているだけなのですから。

忙しくするだけの仕事を大量生産する

何が起きるか。まあ、想像に難くないでしょうけれど。

一見、すごく仕事をしているんですよ。自分の関心がある方向に掘りますからね。たくさん資料を作るし、そこだけは異常に具体性を持っているわけです。当然、仕事も自分で拵えるので残業もするし、その残業も自分が作っている仕事だからやりたいんです。

困ったことに。

ところで、50代エンジニアに期待されていることってなんでしたっけ。

(再掲)50代SEに期待されていること

顧客が課題だといっていることの真偽を見極め、本当の課題は何であるかを発見することです。

本当の課題を解決するための仮説を立て、必要なリソース、例えば専門家が必要であるとか、仮説を検証しながら進めないと博打になるのでステッピングしましょうとか、専門家としての助言をしつつ、顧客のリソースを最大限に活用できる範囲でゴールを設定することです。

確保したリソースの内輪で成果を確保するために、周りを巻き込んで、仕事を振って、期日ごとにアウトプットを顧客に届けることです。

楽して下流工程ばかりやっているから…

期待されていることはトップダウンのアプローチでの課題解決です。なぜなら、課題というモヤっとした顧客の業務上で支障となる事柄を具体的な策で解決する必要があるからです。

これは、ウォーターフォール型のシステム開発が、要件から解決するシステムを実装する手法と同じアプローチです。

つまり、限定された領域の情報を自分で集めることもせずに貰うだけで、実装しかやってきていなかったというキャリアの偏在を露呈しているだけなんですけどね。

こうした仔細に情報が揃わないと実装できない仕事の仕方をすると情報が集まらないと仕事を進められないから、情報を欲しがるという無限ループの穴に入って出てこれなくなってしまうのです。

そうじゃないんだよ、限られた情報で仮説を立てて、ちびっとずつ進むんだよ。

 

おーい、いつまでも穴を掘っていないで一度、外に出てきてどうなっているか確かめてごらん、といっても声は届かないんですけどね。