頭の中を可視化できないプロマネはメンバを不幸にする
「いつまでお仕事をしているんですか、お昼ですよ。今日はお寿司屋さんに行きますよ」
「あ、もうそんな時間なんだ。珍しく集中してたよ」
「ほらほら」
「わかったから、ちょっと待って」
「それでどうして珍しく仕事をしてたんですか」
「それおかしい。仕事はいつもしているんだからさ。それに人に言われるとちょっとカチンとするな」
「あれー、仕事は納期までに終わらせろ、淡々とやれっていうのが口癖なのに。お仕事ラブなんですねー。焼けちゃう」
「(あーもう)プロジェクトのさ、メンバが手が回らないところの仕事を手伝っていたらついつい楽しくなっちゃったんだよ」
「へー、メンバのお手伝いすることもあるんですね」
「たまたまできるところが遅れそうだったんだよ。仕方がない」
「センパイはさぁー、プロマネじゃないですか」
「そうだよ」
「プロマネにエンジニアの技術が必要だと思いますか」
「一般的にエンジニアのキャリアパスはエントリのエンジニアから分岐する様に作られているからなぁ。必然と何かしら持っていると思うけどな」
「それはそうかもしれませんが、プロマネになってからも」
「PMBOKとかさ、そうした欧米型の職能別の役割分担がはっきりしている仕事の仕方だとプロマネはプロジェクトマネジメントの専門家として責務を果たないとダメだろうから必要ない、が答えなんだろうな」
「それって日本は違うってこと」
「現実的にプロマネを1人月コストを持てるとか、1人月売り切らなくてもペイできるコスト構造になっていれば問題はないはずなんだけど」
「コストの話は難しいからそっちに置いて、結局、技術は必要なんですかー」
「持っていることに越したことはないけれど…」
「mustじゃない、wantだよってこと」
「そうかな。多分というか原則論というか基本軸で考えるのがいいんだ。こういうテーマは」
「どーいうことですかー小学校5年生の女の子にもわかる様に教えてくださいー」
「(…なんで小五女子なんだ…それはさておき)PMの仕事は何か、で考えればいいんだよ」
「はいはーい、PMさんのお仕事はなんですか」
「プロジェクトチームの進捗の障害を予測すること、実際に起きたら小さなうちに除去するなり、回避するなりの判断をすること、完了する見通しを立て終わらすこと、かな」
「あー、それ聞いたことあるかも。どこで聞いたのかな…忘れた」
「おい、いつもキックオフやチームメンバが増えたときにオレが言っていることじゃん」
「ウソですよー。覚えてますから」
「ホントか。そう、ならいいけどさ。伝わっていないとしたら寂しいじゃん。いつも聞いてもらっていると思っているのにさ」
「大丈夫ですよ、センパイの言葉はちゃーんと私に届いていますから」
「よかった…。じゃない、基本軸なんだけどさ、役割分担を役割が少しずつ被る様にして、その分掌を果たせる様に環境を作ることが必要なんだ。そのためのSOWでもあるんだし」
「そうですね、センパイのプロジェクトだけは必ず分担図を配りますもんね」
「そういう思いがあるからさ…。分掌でミスるとメンバの仕事の負担も変わってしまうからさ。プロマネの頭の中を可視化することがとてもチームにとっては大事なことなんだよ。だって実現するのはチームだからね」
「そうですねー。何考えているかわからないPMのプロジェクトに当たると早く任期終わらないかなーって思うもん」
「それはそれで問題あるな」
「そうかー。プロマネに技術が必要なのかなと思って聞いたけど、PMの頭の中を可視化するって大事ですねー」
「マジ大事」
「あっ、きましたよ。ランチのお寿司。いただきまーす」
PMに技術が必要かどうかはまたの機会として、プロマネが実現したいプロジェクトの運営やプロジェクトの進捗のさせ方は全部、プロマネの頭の中にあるんですよね。
それをタイミングよく見せる、つまり可視化して伝えることができなければ、チームは右往左往して混乱をするのです。無駄な試行錯誤をさせられて、出てきたものを評価する様にあれこれ指示を出すのは間違いです。何より、プロマネの責務を果たしていないしイズムにもインテグリティに欠ける行為ですから。
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