判断を遅らすという行為の背景と対策

仕事で判断をしなければならないのはその判断をする時点から以降についての身の振り方を決めなければその仕事の目的を達成することが困難になってしまうためです。システム開発を例に挙げれば、方式を複数案ある中から選択するということを判断するのは以降の作業を進めるために必要だからです。例のように全体の計画が決まっており、作業の進行上の都合から物事を判断するという行為はよくあることで、その判断自体もシステム開発の目的の明確さの度合いで判断の難易度の差が出てきます。一方、判断が難しいケースは作業の目的やゴールが定量的に設定できない場合で、検証や実現可能性をステップバイステップで調査しながらその結果を元に次の方向性を決めるようなケースです。ただ、後者の場合も判断のスパンが短くなっただけで、判断する点を検証結果を得るタイミングですると決めたり得られた結果だけで判断すると決めておけば、前者と相違は実はほとんどないと言い切ることもできます。つまり、前者であっても後者であっても、次の行動を決定する判断をすることは可能であるということです。

これが正であるとする場合、情報を集めて判断をしないという行為はどうして起きてしまうのでしょうか。場合によっては際限なく情報を集めようとし、作業を終えなければならない時期を超過しているにも関わらず判断をすることを先延ばしし、作業全体の進度を遅らせるエンジニアなりマネージャが少なからず存在するのですが彼・彼女らは何を持って判断を遅らせているのでしょう。

このような判断を遅らす人たちには特徴があります。例えば、作業を着手する前に作業完了の条件を設定せずに初めてしまうことがあります。判断をするための判断基準が作れない=関係者と合意することができないまま準備不足で手をつけて決断力のない自分の底なし沼に自らダイブするので気づいたときには首まで浸かっているわけです。

判断とは行動基準を具体化したものであり、こうした判断基準は組織の意思決定の文化的な慣習から組織に属する人たちに日常的に浸透しているために判断を遅らす人が複数存在する場合は、ある意味でフラグが立っている状態ですから可能か限り回避行動を取った方が良いでしょう。ただ、外観的に判断を遅らしているように見えていても多忙というやりたいこととリソースのアンマッチ、つまり、リソースが不足している状態の場合は優先順位の高いものから片付けられていくのでそういうケースで遅延しているなら優先順位が低いのだという意味合いでこれまたこちら側のリソースの掛ける優先順位を下げるなり、パタッと絞ってしまうなりした方が良いです。