飲み屋で武勇伝は聞きたくないけれどデスマを生き抜く方法は知りたいじゃないですか
一時期、60歳近い役員やそこあたりのおじさん達と何度となく飲みの誘いに付いていって、(飲み代は払ったけど)話を色々聞いていた時期があった。組織の上の方の人たちだったから、出てくる話がエグくて、こりゃ適当に合わせておかないとと思ったことも実際あったけど、それでも毎回の誘いに付いていって少なくない飲み代の自腹を切るのも、エグい話や武勇伝ばかりを一方的に聞いているのでは割りが合わないよな、と思って始めたのがインタビューぽく話を聴きだすという手口。
一方的に偉いおじさん達(いつもだいたい2−3人いる)が会話すると組織の誰それがあーだ、こーだとかいう人の評価ポイ話とかトラブっているプロジェクトでのプロマネがとかアーキテクトがとか、昔話とか、誰それの学歴とかの話になる。
つまり、自分がそこにいなくて、何かやらかしていたら、そうした場で酒の肴にされていたんだろうなと察しはつくわけだ。だからと言って、そういったおじさん達と一緒にその場の肴に誰かを引っ張り出して飲むなんてことは趣味ではない。
全くもってそうした他人の評価や評判に関心も興味も持っていないし、わかない。
飲んでいる間の時間という価値と支払っている対価の元をリターンしたい。そう考えたときに思いついたのは、インタビューしてこのおじさん達が40年も会社員として、役職として生き抜いてこられた何かを聞いてみようと。
いやいや、そんなのに付き合わなければいいじゃんと思うかもしれないけれど、結果から言えば、インタビューもどきの訓練相手としてはある意味よかったんですよ。一癖もふた癖もある役員級ですから、練習相手としては不足はないし、何より、気持ちよく喋らせるというスキルも身につけられる(た)ので。
それも飽きたら、スーッとそうした飲み会からフェードアウトしたけれど。
話の流れを使ってネタを振る
「へー、じゃあ、こういった時はどうしたんですか」
こんな感じで話の流れを捕まえて、自分が聴きたいことの方向に方向転換をさせ始める。期待する方に向かない場合は、その場にいる別のおじさんにネタを振る。話を振られて嫌がるおじさんは皆無だ。
なぜなら、仕事場では声をかけるのは上の役員くらいで、あとは話を一方的に聞くばかりだからだ。だってそうだろう、部下がたくさんいれば報告や相談を聞いて判断するのが仕事なんだから。
家に帰れば、奥さんが構ってくれればいいけれど、まー、そういうことだ。おじさん達はもっぱら寂しいので、撒き餌を撒けばすぐにぱくつくのだ。
デスマは話たい
ひどかったプロジェクトを生き抜いてきたおじさん達は、そうした経験が結果的にキャリアに結びついていることが少なくないからとても話したくてしょうがない生き物だ。
でもそこで好き勝手に話させるのではなく、聞き手が関心を持っていること、例えば、デスマで最初にすることは何か、とか、デスマの交渉は、とか、そういった自分の置かれている立場で知っていればあとあと参考になるかもしれないことを聞く。
どうせ何かを聞くならね。
なので、話したいおじさんと今じゃないかもしれないけれどいつか役にたつかもしれないと思っている聞き手は、実はマッチングするのだ。
一方的に武勇伝や俺すげぇ系の話になるから、合いの手もいい加減だし、お互いつまらないのだ。
だから、逆手にとって喋りたい欲を擽るのだ。
これは別に飲み屋でしか使えない術ではないのだよ。普段の、ちょっとした場でとても役にたつ。
気持ちよく喋らせる方法を一つ知っているだけで、聾せす、好感度まで得られる。だって、相手は気持ちよく喋ったのだからね。