50代で改めて実感するHRT
野暮用のスライドを作っているのだが、ふと、あるページに書いたことに間違いがないかを自分ではない誰かに見てもらおうと思った。
コミュニティの幹部メンバにそのページだけをシェアして、意見を照会することにした。便利な時代だ。見て欲しいスライドをPDFなりpowerpointなりスクショなりでシェアすれば、時間がある人がコメントを即座に返してくれるのである。
この即応性はスマホだからなんだろう。PCとメールの時代では、こうは行かなかった。PCを立ち上げ、メールを見た人が反応するだけで、PCを立ち上げるという行為に依存するため非同期にならざるを得ない。即、コメントが欲しければ架電するほかない。
それはさておき、スライドを見せる相手により、言葉を変えたほうが良いのではないかと複数名のメンバからリプライがあった。野暮用のスライドは、置き換えようとしている元の言葉さえ実践したことがなく(そのはずだ)、置き換えてしまうとちょっと飛躍し過ぎて受け止められないのではないかと思う。
とは言え、コメントはもっともなので表記を併記し、表現を広がって受け止められるようにすることにした。
いやはや、ありがたい。
何がというのはシェアして即応性のあるコメントが得られる道具立てのことではない。
50代になって、頼れる協力者がいるということ自体が、である。幹部のメンバはそれぞれの場で様々な発表のスライドをシェアしているが、そうしたスライドを見るたびに勉強になるし、自ら発表をすることでコメントを貰える。
なぜそこまでありがたがっているかというと、聞ける対象となる相手が減っていくし、年齢が上がれば上がるほど、刺さるコメントが減っていくのだ。
こうした知見や見識に対するフィードバックを継続して確保できるのは、とても貴重な財産となる。他者の意見を素直に聞く姿勢を続けなければならないし、自分の間違いや誤解を自分で正さなければならないからだ。
こうした所作をどこかで読んだ気がすると思いつつ、どんなキーワードでかと並べてみたら、
- 謙虚に耳を傾ける
- 意見照会するメンバを信頼している
- 自分とは違う価値を持っているので尊敬している
の3つがあげられる。
これなんだっけと、思い出してみたらHRT(Humility/Respect/Trust)だなと思い至る。良く知られている Team Geek の本と同じである。
このHRTを属する組織で得るために誰に意見照会しようとすると1名くらいしか名前が挙がらない。組織の中で年齢が上がるとか、専門とする知識エリアでコメントをもらおうとすると組織の限界が出てくる。
だからこそ、エンジニアは年齢がシニア層、40代、50代になればなるほど、外に意見を貰える関係づくりが必要となってくるし、フィードバックして貢献しなければならないのだ。
まあ、そうした活動をすると仕事よりオフの方が忙しく、知識的好奇心が増えてくるのが、また面白いところではある。
Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか
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