時間を奪う妖怪PM

昔話なのだが、ある部署に異動して少し経ってからのことだった。うろ覚えだが、もしかしたら夏の頃のことかもしれない。

執務室に戻ってくると若手のエンジニアがプロマネの側に立っている。プロマネに質問でもしているのかと思ったらどうやら全く違った。業務のことだし、コンフィデンシャルな話であれば会議室に行くだろうからプロジェクトのことについて話しているのだろう。

自席に戻りスタッフに小声で聞いてみたら、プロマネが若手エンジニアを呼びつけ、立たせたまま、自分は椅子にふんぞり返って説教をしているらしい。いつもこうなのかと尋ねるとスタッフは「そうなんですよ」と言う。

自分が担当するプロジェクトの作業に戻って仕事を再開したのだが、暫く経っても続けている。

もう1時間くらいやっているのではないかと思うくらいやっている。早口で、割と通る声でやっているのだから周りは堪らない。

それでも誰も助けに入るなり、会議室に行くように促したりする人はいない。

 

ここまでを読んで拙いところが幾つあるか数えて欲しい。自分では5つを挙げた。

  1. 若手エンジニアを呼びつける
  2. 若手エンジニアを呼びつけ立たせたまま話し始める
  3. 説教を全員の前でしている
  4. 声が大きい
  5. 誰も助けに入らない

自分ならこうする。

  1. 用事があるエンジニアの席に行く
  2. 時間が長くかかりそうならお互い座る。短時間ならこちらは立ったまま
  3. パーソナル(指導の意味合いを含め)な話題なら会議室で
  4. 普段の声量で
  5. 間に入る

ところで、上に挙げていないことで1つ重大な事項がある。それはエンジニアの貴重な1時間を説教で奪い取ってしまっていることだ。

よく考えて欲しい。仮に進捗の良くないことが説教をする理由だったとして、その進捗が遅れていることを忘れて1時間も説教をすること自体がプロマネの価値観としておかしい。

やってしまった(進捗を遅らせてしまった)ことを終わってからクドクドと1時間も話してどうなるのだろうか。単なるプロマネが若手エンジニアに期待していたパフォーマンスを得られなかったことに対する不満をぶつけているのではないだろうか。

離れた場所から見ているとよくわかる。

進捗が遅れている上に1時間を若手エンジニアから奪っているのだ。これでこのエンジニアは1時間以上余計な残業をすることが決まったも同然である。1時間ではない。1時間以上である。なぜなら1時間も説教をされては席に戻って気持ちを切り替えてコードを書けるだろうか。そんなことができるくらいなら進捗なんて遅れないだろう。

プロジェクトマネージャもリーダもしなければならないことは、エンジニアの作業をする時間を固めて確保することである。決して細切れにしたり、作業時間を奪ってはいけない。

エンジニアの時間を奪うプロマネは、妖怪でしかない。

 

 

 

 

今、あなたの後ろに立っている人は妖怪ではないか確かめた方がいい。 

 

 

 

エンジニアのための時間管理術

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