技術者はexcelで自分の思考を拘束する
ここ10年くらいの新卒でエンジニアになった若手エンジニアは本当に優秀だと感心している。学歴もそうだし、実際、業務を任せると自分が同じ歳の頃の仕事ぶりとは雲泥の差だ。一生懸命に仕事をしていて、行き詰まって、一人で抱えているとついつい声をかけてしまう。
そんな若手エンジニアにどれだけの間、先を進んでいられるか。願わくば、20年くらいの経験知と少しだけ読んだ書籍などの形式知の貯金がまだ底をついていないことを過去の自分に対して期待したい。まだ、のりしろくらいのアドバンテージを保っているがそれがいつまで持つかはわからないが。
優秀なエンジニアは今も自分が20代だった頃の同僚でも同じように、頭の回転が滅法速い。頭の回転が速すぎて、言語化が追いつかないので興奮して言葉がたどたどしいように見えるが、そうした光景を見るたびに頭脳の回転が早い資質を持っているんだな、と思うようになったのはそうした資質を持つ同僚と仕事をしてスペックの違いを嫌と言うほど経験したからだ。
自分の頭で考えていることと言葉や図式で表現することが一致すること自体、実はそれほどないし、スキル的に高度な方に入ると思っている。
頭で考えているようで、それを言葉や図式で表すと全然考えが浅いとこが多い。それを知るためにもさっさと形にした方が自分のためなんだよ
— ふみさん (@finayama) August 2, 2018
例えば、 システム開発だと機能の論理構成や業務運用の運用フローなど実体のあるものを書き起こすのではなく、今はまだないものを一から書き起こす場合にその傾向が強い。
考えている風で実は触りも考えていない。
その考えていない程度を知ることはとても重要だし、それは早いうちに知るすべを持っていた方が良い。
自分と一緒に仕事をする若手エンジニアには、仕事に手をつける最初に流れ(フロー図)や関係図(関連図)や組み合わせ表を『手書き』するといいことがあるよ、と触れ回っている。
なぜなら、いきなりexcelやpowerpointで図形や表を書き始めてしまうと綺麗に見えるので、実際の中身のもみ加減が足らなくても満足してしまうのだ。これが拙い。
問題は、自分が思っているようなレベルでなくても『満足してしまう』状態を自分で作ってしまうことだ。
例えばexcelを使えば必然と2軸の表を使うのだが、人は持っている情報や知っている情報でしか考えることができないから、とりあえず行列にプロットしてしまう。そうすると本来は別の軸で整理しなければならなかった情報が思っていたものとは違う表現になってしまうが、なにせ、綺麗にまとまっているように見えるのでそこで思考が止まってしまう。
一度切り口を作ってしまうと新しい情報の切り口を作り出すのはとても難しい。
繰り返しになるが、一度自分で形として表現してしまうとその表現したもので自分の思考を縛ってしまう。
だから、そこで止まってしまうのだ。
その罠に嵌らない、ブレークスルーする方法が手書き。フリクションのカラーサインペンを使うと消せるのでいい。普段使わない色を使うのも形から変えようとするので良い。
バカに思えるかもしれないが、まあ、騙されて図式や表を手書きで描いて欲しい。
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