SIerエンジニアは課題設定が出来ない

8秒くらいで違いを伝えるとするなら、

『はがない』

である。

 

 

それは略しすぎなので、

『課題設定ができる』

エンジニアは自社サービスを作っているエンジニアで、できないエンジニアが受託エンジニア。

 

タイトルにエンジニアをつけて違いをエンジニアだけに押し付けるのもアレだし、エンジニアがそう振る舞うのはリーダであるプロジェクトマネージャとプロダクトマネージャの違いが由来だといっても構わないだろう。

別の切り口だと、事業者(委託元)とSIer(受託先)でも同じ関係である。事業者は、経営上の課題から、各担当が分掌の範囲で課題設定し、課題をタスクに落とし込み、タスクによってはプロジェクト化して解決することで評価を受ける。受託先は、課題を切り出されたところだけを決められた要件で実現する。

文字で表現するとなんてことはない。そうだよね、それでどうしたの、で終わってしまう。

だが、受託先のプロジェクトマネージャもエンジニアも超えられない壁がある。

それが課題を設定できるかどうか、である。

『いや、課題なんて自分でもできるよ』と言われるSIerのエンジニアもおられるだろうし、実際課題を設定できるエンジニアの方も極めで稀にいるかもしれない。でも、圧倒的にできないエンジニアの方が多い。

経験知をエビデンスとするならば、過去のエントリでも書いたが目標管理で自分の目標を設定できるエンジニアは2割もいない。どれだけ技術レベルが優秀でも目標を組織の目標から設定できるエンジニアは少ない。

なにも課題を全く書けないわけではない。目標のようなものは埋めてきてくれる。それが、課題を設定してそれを解決する目標になっていないのである。

委託元が課題から切り出した要件を実現するのがSIerの仕事であると気づけばその理由がわかる。

切り出された要件を対価を受け取り、代行するのがSIerの事業であるから課題設定は必要とされない。必要なのは要件を実現すること、終わらせることなのである。

つまり、いくらSIerに課題設定を求めても、日頃から課題を設定する機会がないのである。SIerの中で課題設定する機会があるのはマネージャと本社部門だけである。それも、系列になるとだいぶ怪しくなるが。

プロジェクトマネージャには、プロジェクトを終わらすプレッシャだけが掛かる。もちろん、エンジニアにはWBSを終わらせるように圧が掛かる。このどこにも課題設定は微塵も出てこない。

プロダクトマネージャは、事業を支えるプロダクトの成功を考え、実現しなければならない。上手くいっていれば、さらに価値を高めることを考える。上手くいっていなければ、課題をKPIから設定するのである。でなければ、事業が失敗してしまうからである。

『課題』でそのあたりのつながり、壁がわかったのである。

ひとりでひどく感心しているのである。

 

ちなみに、良い悪いを言いたいわけではない。『違いがあるよ』と強く思ったのでそれを書き残しておきたいと思ったのである。

 

さて、課題を設定するスキルはどうやって設定すれば良いのだろうか。

 

 

東大エグゼクティブ・マネジメント 課題設定の思考力

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問題発見プロフェッショナル―「構想力と分析力」

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