エンジニアが辞めることでブラックな会社が反省するわけがない
日々、面倒くさいエントリを読まれている方には信じられないかもしれないが、自分がマネージャのときに部下が辞めたケースは、0件である。
精度高く言及すれば、自分はマネージャをしていたが上長が諸事情で退職を促した部下は若干いたが、それを知ったときはすでに話は決着をしていた。今更引っ繰り返すわけにもいかなかったのは、当事者も承諾していたからである。知らぬところで人事が進んでいることは組織の中ではない話ではない。
ところが、自分の手から離れて他の組織に移った途端、辞めている元部下が割といる。察しのとおり、辞めた元部下は全員優秀である。本人が辞める際にお礼と連絡をくれたときに聞いてみると、新しい職場での仕事はコンサルタントが多いのは優秀であることの証左だろう。
もちろん、そういった自分のキャリアを選ぶ元部下を祝し、移って落ち着いてからお祝いをする機会を持つようにしている。元部下にとって自分が初めてのマネージャで一人前になり、元部下が自分でキャリアを選び、満面の笑顔で会ってくれるのは嬉しいではないか。それに新しい場で活躍してくれれば、『俺が育てた』とドヤ顔する(しないけど)。
一方、組織の中の催しや何かのきっかけで飲み会に行くと年齢を問わず愚痴、不満をいう人もいる。エンジニア、マネジメント、本社管理部門スタッフと問わず一定の量でいる。はっきりいって、とてもつまらない話だし、飲んでいるサッポロビールは不味くなるし、後の会計で支払うとき何かを得たかと思い出しても何もない。だから最近は組織の中での飲み会はメンツをより選ぶようにしているし、ほとんど欠席である。組織の飲み会に喜んで行くのは自分の部下たちとの懇親会だけにしているといっていいほどである。それも機会をできる限り減らしているので、他の組織に比べたら半分もないだろう。今、自分と飲む人は自分が関心を持っている人だけであると言って良い。
Twitterを始めとしたSNSを見ていると、いつも会社の文句ばかり言っている割にはずっと同じ会社に居座っているような人が溢れかえっています。そんなに嫌なら会社辞めればいいのにといつも思います。多分多くの人が同じことを思っていると思います。
自分の経験で愚痴を飲み会でいう社員は、愚痴を言うことで仕事上の不平不満と働き続けるバランスをとっていると思う。だから、辞めない。愚痴を聞いてもらうことでストレスを聞き手に付け回しているだけである。本当に辞める人は優秀だから口に出さないし、口に出すときは辞めることを決めた後である。
このことから言えることは、文句を言っている人は辞めない。ただ、文句や不平不満ではなく、マネージャの判断、アサイメントなどの采配でエンジニアが小さな悩みを言っているときは危険である。放置すると辞める。
自分の置かれている状況を変える以外にも会社を辞めることには意味があります。会社をやめることの最も大きな意味とは、
会社に反省する機会を与えること
引用 同上
果たして、エンジニア自身が会社を辞めることで会社に反省を促そうと思って、実際に反省をしたら誰にメリットがあるのだろうか。
少なくとも辞めたエンジニアにとってメリットはゼロである。何一つ、反省した後の教授を受けないためだ。
これが正であれば、エンジニアが辞めようとしている会社に対して反省を促すことは微塵も思うわけがないし、反省を促そうとしていると考え方は誤りである。
それは、ブラック企業自身に気づく能力がほんの少し、残っていたからだと考える方が適切でないだろうか。
以下は蛇足。
毎日終電、毎週休日出勤の超絶ブラック企業であっても、本気を出せばあっという間に残業ゼロのホワイト企業として生まれ変わることができました。そのきっかけとなったイベントは紛れもなく従業員が退職すると申し出てきたことでした。
引用 同上
自分のことを持ち出して比較するのはどうかと思わなくもない、ーのはたった1人のマネージャのマネジメントと会社と比較するにはレベルが違い過ぎると思うからであるがー、ブラック企業がホワイト企業になったのが事実だとして、それは、不良が更生したことを自慢しているようで『何を言っているのだ』としか思えないのは少し斜に構えすぎているのだろうか。

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