指示待ちとコンプラで壁を作るSIerエンジニアの乗り越え方

SIerのエンジニアの特徴はいくつかある。基本は指示すると文句をいうこともあるが『No』とは言わない。Noと言わないのは事業会社のIT部門でもよく見かけるが、ちょっと違う。事業会社だと自社の事業に関わるここと、指示するのが上司や先輩だったりするのでNoと言った後、色々面倒臭くなる。だから、言わない。

ところが、SIerのエンジニアはそうではない。プロジェクトが終わればまた次のプロジェクトに渡っていくので事業会社のそれのような縛りがない。多重請負であればことさらである。次のSESの常駐先に行けば良いのである。

でも、NOと言わない。基本的に、受け身であるからである。それもある意味、訓練されてた、調教された結果、であるのかもしれない。

もう1つの特徴は、壁を作る。これはコンプライアンスや契約を超えた作業に対する注意喚起がしっかりされているSIerのリーダに多い。担当レベルのエンジニアだとこの辺りの知識がなかったり、言われたらやるものだと調教されているのでやるのである。

しかし、スコープに関わるようになると管理部門などから何度も言われるし、コンプラ名目で教育をしていると、担当エンジニアだろうと壁は作るものだと刷り込まれる。

契約を理解し、契約のことを履行するために行動するのは正しいのだが、エンジニアも人の子でエンジニアにより、そうした特徴が強く出る人が出てくる。

多分に、前者は後者の後にその性質を身につけた方が柔軟である。

自分がエンジニアとしてプロジェクトを遂行するために、そして完了させるために何をしなければならないかを理解することは、良いことであるし、ぜひそうしていただきたい。プロジェクトとして、チームとして方向性を合わせるのは必須のことなので。

その上で、契約外のことは、それを判断する権限を持っていなければ、自分で判断できないという意味合いで『No』と言えばいい。

まあ、課題管理に載せておきましょう、と言い、自分からボールを手放せばいいのであるが。

こうした壁を意識することは、契約においては必要なことであるが、エンジニアとしての価値を上げていくための活動では、無意識にこれが出るとマイナスに働く。

ここまで、と線を切るのは契約で、権限を持ってからでよい(そういった話が来たらプロジェクトに引き渡すことは必要)。

普段の業務で繰り返し行っている振る舞いは、自然と身についてしまう。そうして身についたものは、後で色々と取り返しが効かなくなる。

新しい技術に取り組む必要がある場面で、無意識に壁を作ってしまうからだ。身についたものは、思考が行動を無意識に制御してしまうので、自分が気づくより先に口に出てしまう。

それが、なんでも『No』という言葉で表されるのである。

どちらもできるように、意識的に自分がつくる壁からはみ出すことをやろう。それも物理的に移動する行為を含んだ方が効果的である。

そして、壁からはみ出て見えるものに対して興味を持とう。

 

 

 

 

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