SIerのマネージャ研修には人事部門の力量が映しだされる
どこの組織でもマネージャに対して研修を行う。もしマネージャに対して研修を行なっていないとしたら、マネージャ候補中からマネージャのqualifyに必要な育成を行え、マネージャの実務に必要な知識をインストール出来ているということなのだろう。
同業のSIerのマネージャ研修の内容を聞いてみると大体、次ようなagendaなのだそうだ。
第1日目
- 社長若しくは経営幹部の講話
- 自己紹介(社歴、担当業務)
- マネージャに元求められる資質
- 昼食
- 360度評価
- 夕食・懇親会
第2日目
- 自己評価
- 昼食
- 行動計画
- 幹部講話
ヒヤリングした範囲でのサマリであるから読者が属する組織ではもっと理論的なマネージャの分析とか、メンバへの接し方とか経営幹部の候補としての姿勢、経営者の知識として必要な財務に関する教育が組まれているかもしれない。
ただ、こうしてヒヤリングした範囲で想像がつくことは、こうした講座のコンテンツは教育をサービスする会社からの提案もあるが、教育計画を立てる人事部門の力量が現れるのである。
マネージャも階層化しているので一旦、ファーストラインである課長職に対する研修を前提としよう。
受講対象者 課長職
課長職は、建前上は経営幹部候補であるから、それにふさわしい職能を果たさなければならないし、上位職の能力を持っていれば、部長職、取締役などへ人事部門は道筋をつけなければならない。
そうした幹部候補に対する研修は、経営課題、中期から人材的な課題を抽出し、課題解決の仮説を立て、検証し、実務(=研修)を行うことで実証していかなければならない。
では、マネージャ研修の内容はそうなっているか、ということである。中期の実行能力に課題があれば、中期のリマインドと実行能力を引き上げるアプローチ方法や計画をコントロールするためのアプローチ方法を組み込むべきである。
社員満足度が低ければ、現場に不満が溜まるオペレーション上の不良があるだろうから、現場の可視化されていない不満の原因、業務の見直しなど把握することができる手法を教育コンテンツに入れることで課題解決になるかもしれない。
営業力が弱いという経営課題があるのであれば、顧客の現場の課題を見つけ出せる手法を取り入れ、提案力の強化を教育コンテンツに取り入れる必要があるのかもしれない。
少なくとも、前述したヒヤリング範囲でのマネージャ研修ではそうした経営課題を人事面から解決する役割を担っているとは到底思えない。
こうしたマネージャ研修で露呈する切実な問題は、人事部門には経営課題を担うという意識も認識も能力ないと言っているような状態の方である。
ついでに言えば、ヒヤリングした研修コンテンツで受講者であるマネージャが一番役に立ったのは、マネージャ同士で教え合うことで得られる他のマネージャの工夫や取り組みなのである。
受講アンケートで、他のマネージャのアドバイスが役に立ったと書いてあったら、研修会社に高い費用を支払って依頼したコンテンツは全く価値がないと評価しているようなものである。
人事部門各位は、ご承知おきいただきたい。
- 作者: 中原淳,荒木淳子,北村士朗,長岡健,橋本諭
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