『あなたの技術はもういらなくなった』と切られる時代へ
ドイツは労働者の権利を守りつつ、そこそこ上手くやっている(内情は知らないがそう見える)。
同じようにできないのは色々とご都合があるのだろう。
経団連の中西会長は、企業が今後「終身雇用」を続けていくのは難しいと述べ、雇用システムを変えていく方向性を示した。
邪推であるが、業績に貢献が低い本社部門をスリム化したいと考えているのではないかと妄想している。優秀な社員に絞ることで、コストカット、意思決定のスピード、収益改善など紐づく期待は大きい。
SIerに目を移せば、知らないエンジニアはいないと思うのだが、富士通の早期退職や配置転換は記憶に新しい。
間接部門から営業かエンジニアへの転換を選択するか早期退職を選ぶことになるため、エンジニアとすれば対岸の火事であると関心が薄いかもしれない。
ただ、自分の経験から言えば、エンジニア自身のキャリアにおいて何時『あなたの仕事はない』と言われてもおかしくない。
実際に経験したことは、バブル崩壊後の不況の余波で早期退職募集を経験したことがあった(応募はしていない)し、資本の比率などで必要とされるエンジニアの技術はガラリと変わる。友人から聞いたことから話では、次期ビジネスプランの変更により所属する会社を変えた、ということもあった。
さらに言えば、今でも業績評価の中で指定された割合でパフォーマンスの低いエンジニアをパージする制度があれば、エンジニアの仕事は未来永劫保証されているわけではないし、何をしなければならないかも想像がつく。
元来、エンジニアは技術を売る仕事であるから、その面に気づいて対応していれば慌てる必要はないし、その人に応じて何かしら手当てはしているだろう。
問題認識というか、技術を売っている自覚を持っておらず、時間の量を売っているエンジニアに突然、『来月から来なくていい』と言われれば、そのときになって技術の価値のありがたみを感じるかもしれないが、それでは時すでに遅し、である。
いよいよ持って、エンジニアの技術の価値を問われる時代の幕を切ったのだろう。もちろん、エンジニア全員が全員、カンファレンスやインタビュー記事で名が売れるようなエンジニアのように技術を身に着けることも、実践することを望むことは現実的ではないし、誰もそういったことを望んでもいないだろう。
エンジニアにとって必要なことは、遅くとも35歳までに専門技術を選択し、その技術を中心として必要な適用技術のスキルとエンジニア自身を形成する基礎スキルを構成し続けることである。35歳までの生存戦略も必要ではあるが。