このエンジニアの人材難は、SIerのビジネスを変える最後のタイミングなのかもしれない

20年ちょっと前に、SIeもセクターでエンジニアの優劣があり、

金融>公共>>>>他

的な感じのことを聞いたことがある。やはり、お金を持っている金融に優秀なエンジニアを割り振る。公共は霞方面の案件は、ご事情もあるようでそれなりなエンジニアを向ける。

振り返ると、ベタな金融はやったことがないが金融と公共の間くらいからその他方面の顧客の担当になった。

経験的に言えば、金融の方がロジックがあれば話を聞いてくれるので右側よりはいくらかマシな印象だ。その分、裏付けの積み上げや手続きに煩雑さをものすごく感じられるが、そうした手続きの濃縮具合は、焼き鳥屋のたれと同じようなもので、SIerのしくじりの黒歴史そのものだったりする。その店(SIer)の味付けのようなものである。

大抵のエンジニアにはお口に合わない。

マシなのは多少の道理が通るばかりではない。唯一無二であれば、相応につけた値段で取引ができる。やはり、体力があるところは違う。その裏には、企画担当の業務課題を実現しなければならないという裏返しでもある。

法令遵守も浸透しており、コンプラよりコストカットと調達を間に挟んで一律5%カットとかやられないケースもある。ただ、特命か随契になるまでは、競争入札で消耗戦をさせられるので、それなりの戦略が必要である。まあ、右側の方も某セクターでは、契約を結んだ後の支払いになって、さらに金額を下げるように言ってくる業界もあるのであるが。

エンジニアの単価の切り口で見ると、やはり単価の高い契約の方が無理難題をつけてこないし、委託元の費用を踏まえた上で、適切かを判断している(客筋による)。エンジニアの単価を安くしようとしてくる委託元は、人を人として扱うことをしない。提供するソリューションで得られる価値(そのシステムを使うことで得られる利益)では判断する能力も体力も持っていないから、いくらでも単価を下げるようにしか言ってこない。スコープを減らそうとするとそこは変えるな、的なバカなことしか言わない。

早々に商談は打ち切りにするのであるが、こうしたことをするのは顧客ばかりではない。プライムベンダの中にも一定の割合で混ざっているからタチが悪い。A案件のエンジニアとは価値を理解してくれても、B案件のエンジニアも同じとはならない。わかった段階で自分ではコントロールできない建前の理由でご辞退するのである。

こうした経験をしていると、事業企画をやると予算的に払えるなら、無茶なことをしないで気持ちよく、働いてもらいたいと思う。その値段交渉に費やすコストがバカにならない。手戻りも少なくしたい(こっちもそれをモニタリングするのが面倒だ)し、急かしたりスケジュールを圧縮すると必ずどこかで大なり小なりクラッシュする。トラブれば、それがクローズするまで観察しなければならない。そんなことにリソースを使うのではなく、やることをやるためにリソースを使う方がいい。

別に物分かりがいい委託元になるつもりもない。説明の必要なことは理解できるまで説明してもらうし、やると契約したら、範囲でやり切ってもらう。

それでも、SIerだってエンジニアが売り切れていているなら、客筋の良い案件を選びたいだろう。

このエンジニアの人材難は、SIerにとって最後のビジネスモデルを変えるタイミングなのかもしれない。

 

Kindle Oasis (Newモデル) 色調調節ライト搭載 Wi-Fi 32GB 電子書籍リーダー