手順書どおりにできない人

某焼き菓子が割と上手に拵えることができる。とは言え、10回中2-3回くらいは失敗する。膨らんでも冷ますときにしぼんでしまう。満足に焼けたときは、良い感じで水分が飛び、弾力がある。

作るときには、必ずレシピ本を開いて製菓するが、全部の工程を1ステップごとに手順を見ていない。過去に工程をすっ飛ばして失敗した(萎んだ)ケースで記憶にあるものを次項に示す。

  1. 材料を室温に戻さない
  2. 材料を投入する順番を間違える
  3. 焼く時間が短い

項番1は、通常、レシピ本に書いてあるが、室温に戻す理由は書かれていない。レシピ本に記載されていることは認識していたが、室温に戻さないことにより何が起きるかがわからないから気にとめることがなかった。

プロに尋ねる機会があったので聞いてみたら、材料の温度が低いと萎んでしまうとわかった。しぼむ理由は他にもあるが、材料の温度を室温や指定の状態(湯煎する、人肌に温めるなど)にすることはそれぞれに意味がある(しないと期待する結果にならない)。

項番2の手順を間違えるは、レシピ本は見ているのだが、見て作業をするのではなく、感覚で次の動作を進めてしまい、やってから手順の間違いに気づき、すっ飛ばした手順をやって失敗する。
これは単純に、ステップバイステップで作業を進行すれば起きない失敗である。ある失敗しケースでは、本来、先に油を入れ撹拌した後、温めた牛乳を入れ、小麦粉を混ぜるところを油を入れ忘れ最後に入れるとか、メレンゲに砂糖を入れ忘れて材料を型に入れて焼き始めてから、入れていない誤りを同時にやったケースがあった。

項番3は、そもそもレシピ本毎に設定温度が違ったりするのであるが、採用した温度では結果的に短かったというものである。
これはあるcafeのマスターに聞いてみたところ、レシピ本のレシピでできた菓子を焼く環境は一般家庭とは違うが言及されることはないというものがある。例えば、レシピ本で使うオーブンはガスだったりする。家庭用は電気であるから温度が違いが出るのだそうだ。だから自宅のオーブンで焼いてみて、思うように焼けてなければ調整が必要である、と。

では、どうして自分はレシピ本の手順を飛ばして作業をやってしまったかというと、専門家から味についてはお墨付きをもらっていて、そこに油断が生まれてしまっていたのだろうと考えている。一方、材料の分量や温度、時間などはパラメータであり、変更することの影響を焼いた後の結果を確認する意味で、注意は払っていた。つまり、チューニングすることに注力していて、基本がお留守になって失敗していたのである。

このことから得られる教訓は、仕事で『作業手順どおりにやりなさい』と言い続けることはとても意味があるし、期待する結果を得られる最低限の行為であるとわかる。パラメータの変更はある意味、手順書の中からコピペするくらいで、作業時には意識しないで良い程度にしておかなければ気が散ってしまい、失敗を繰り返すだろう。

身を以て、手順書どおりにできない人になって、失敗の代償(材料費と時間の無駄)を払うことをやってしまった。なお、前述の項番2の失敗の後は、流石に手順を抑えながらやり、期待以上に膨らませることができている。

手順書どおりにやらないと何が起きるかを知っていることは、大きいプラクティスなのだ。

 

 

岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。

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