110年弱前から指摘されていることをまだ解決できていない

今、110年弱前に書かれた本を読んでいる。100年弱前に書かれた原書はもちろん英語版であるが、読んでいるのは日本語の復刻版である。

もともと、唯一の信頼できる元上司に、『1冊だけ選ぶならどの本か』的な質問をして、教えてもらっていた本だ。その質問をしてから大分経ったが、去年にそれを手に入れ、そのまま積ん読というか通販の箱に入ったままのを、外出するときのお供に連れ出した。

電車の中で、物販の列で読んでいて、思ったことは、もっと早く読んでおくべきだった、ただそれだけだ。

端的に言えば、我々IT業界(に限らないが)が今、最先端の企業で取り組んでいるような従業員の技術の伸長への取り組みなどは、110年弱前の本に書いてある。110年弱経っても、我々は何一つ従業員の育成で進化していないのだな、ということを実感できる。

少し引用してみよう。

「マネージャーは、朝から夕方まで職人たちに寄り添って手助けや激励をし、困難を取り除いてやる。かつては高みの見物を決め込んで助け舟をなどはほとんど出さず、仕事の手法、道具、ペース、協調などについて責任をほぼ丸投げしたものだが。』

まるっきり、サーバントリーダーシップであるし、マイクロマネジメントとは真逆の従業員のパフォーマンスを引き出すためだけにできることはなんでもやるような姿勢が必要であると言っている。

110年弱の本に、である。

さらに他のページでは、従業員の個別対応をせよ、とも書いている。メンター(とは書いていないが実質メンターである)をつけ、うまく出来ていない従業員のフォローをせよとしているし、個性に着目して従業員の可能性を探れと書いている。それでもダメだったら、解雇せず、より適任な仕事に配置換えせよと言い切っている。

さらに、従業員の自主性を引き出そうと考えるなら、インセンティブを雇用主から通常得られる以上のものを与えられていると自負しない限り、最大限に引き出すことはできないとしている。

110年弱の本に、である。

 

|新訳|科学的管理法

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