マネージャにエンジニアとしてのキャリアを丸投げしていいように使われても文句一つ言わないなら、それもアリだと思うけど。

後輩「また来ちゃいました」

先輩「暇なの」

後輩「ひどい先輩ですね。ひとりで寂しく仕事しているんだと思って慰めに来たんですよ」

先輩「元気そうで何より」

後輩「…まあ良いです。元気だけが取り柄なので。それで、先輩」

先輩「そうだ、行ってみたいお店があるんだよ、今日は暇っ、痛い。暇じゃなかったね。たまたま予定がキャンセルになって時間があったんだね。で、ちょっと待って。『すみませんが今から2人入れますか、そう、次のお客さん来るまでなら。じゃあ行きますね』よし、行こう」

後輩「珍しいですね、先輩が行きたいお店があるなんて」

先輩「たまにはね」

 

後輩「ちょっと、ここのお店大丈夫なんですか。看板出てないです」

先輩「ここ見て。ほら。小さいけどあるから」

後輩「隠れ家っぽいですね、どうやって見つけたんですか」

先輩「色々あってさ。ほら、ビールの泡のきめ細かさがすごいでしょ。まずはお疲れ。で、今日はどんな相談なの」

後輩「今日の先輩は変ですね。変なのはいつもですけど。それで、OKRとか設定するじゃないですか。1on1するじゃないですか。で、何やりたいかって、これからどんなエンジニアになるのかとか、根掘り葉掘り聞きますよね、マネージャは。でも、実際何も考えていないじゃないですか。まだ仕事も思ったように出来ていないんですよ、そんな先を考える余裕なんていないの当たり前じゃないですか」

先輩「そうだなぁ、実際、そうだったんだけど、やっぱり、若い頃から何になりたいのかを考える機会は必要なんだと思うけどな」

後輩「なぜそう思うんですか、先輩は」

先輩「一つは目線かな。目の前のタスクばかりやっていると近視眼になるからかな」

後輩「でも、仕事の結果は出さないといけないじゃないですか。OKRだってそうです。すぐ結果を求められるんです。だからなりふり構っていられないじゃないですか。どこに目線をあげる余地があると」

先輩「自分で答えを言っていることに気づかないのかなぁ」

後輩「え、どういうことですか。私が自分で答え…言っている」

先輩「余地、余裕かな。目線を上げるために必要な条件は。どう、ね、どう、そうなんでしょ。そうだよね。じゃあ、わかっているじゃん」

後輩「はっ、えっ、ん、あ、そうか。そうですね。なんて狡猾な先輩なのでしょう」

先輩「いやいやそれは日本語がおかしいから。でさ、実際、誰もちゃんと考えていないんだよ。いや、一部に変わった人がいて、そういった人は自分でやりたいことを見つけて実際にやっちゃうんだけど、とても変わり者だけどさ」

先輩「でも、そういったことはエンジニアなら自分で考える時間をとって、それを試すことを繰り返したほうがいい。これからは、マネージャがエンジニアのキャリアを決めるなんてありえないし、そんな時代じゃないと思うからね。」

後輩「そうなんですか」

先輩「OKRの一環でToBeを共有するのはマネージャがエンジニアのキャリアを決めることからサポートする側に回るという意思表示なんだと思うよ」

後輩「面倒臭い」

先輩「マネージャにエンジニアとしてのキャリアを丸投げしていいように使われても文句一つ言わないなら、それもアリだと思うけど。でもそんなエンジニアの仕事って楽しいの。楽しければいいけど、小さいと思うよ。楽しみも学びも。だって、自分で意思決定してないから失敗しても他人事になってしまうからね、全部自分のサラリーに跳ね返ってくるのに」

後輩「それは嫌です」

 

MRTと鉄道に乗って週末台湾旅

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