オープンコミュニケーションというハラスメント

オープンコミュニケーションを文化の一つとしてうたう組織は少なくない。衝突を避けるために思っていることや感じていることを言葉にして発することをやめたり、言ってしまった後にどう思われるかを憂いて押し黙っていたり、勝手に慮って遠慮をしたり。

本来のオープンコミュニケーションには次の効果を期待する。

・お互いの性格や価値観を知り合えることで違いを理解できる

・コミュニケーションの取り方を変えられる

・相手を理解した上で意思を伝えられる

 ・余計な心配、誤解が減る

 ところが、オープンコミュニケーションを自分が感じた感情のまま伝えることがオープンコミュニケーションだと思い、相手の価値観に一切の配慮もなく言葉をぶつけてくる人がいる。

これはオープンコミュニケーションとは違う。オープンコミュニケーションだろうがなかなろうが、相手を尊重することはコミュニケーションを取る上で大前提でなければならない。そうしなければコミュニケーションを取りたい相手から相手にされない。

仕事ならそういうわけにもいかないと思うかもしれないが感情の強い言葉を受けた側は、そのように発する相手を避けるようになるし、対応するとしても後回しにされるか事務的な対応しかされない。

そのようなコミュニケーションを取る時点で前項の最初のステップにさえ到達していないのである。心理的安全性云々と話題になることが多いが、その前コミュニケーションを取る相手の尊重がそこにあるかどうかを人差し指を自分に向けてみよう。

 

 

言いづらいことの伝え方 (日経文庫)

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