チームのパフォーマンスの最大化を考える

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社員に計測機器をつけて業務を行い、実証実験することのサムネイル、記事によってデストピアだと評されている。実証実験は緑のある開放的な空間のもたらす効果と称しているが、これは従業員のパフォーマンスの最大化を狙っているのであることは誰でも察しが付く。

 

マネージャがチームのパフォーマンスを最大にしたいと考えるとき、どのようなアクションをすれば良いのかを考える。

 

成果をトレースする

観察をシンプルに、つまり最小限の振る舞いで捉えるなら、成果を観察する。

設定した期日に、計画した成果ができていることを確認する。

計画した期日に確実に出来上がるかを知りたければ、ものができるタイミングを計測するために、観察する間隔を短くする。

成果をトレースすることは、マネージャはチームに対して何も貢献しない。

チームが貢献するパフォーマンスに貢献しないばかりか、観察する行為がチームに割り込むためにその分のリソースを使うことになる。

→ チームが計画した期日に成果をだすため

  • パフォーマンスを削いでいることになりかねない。
  • チームの成果を得るためのリソースを削ぐ。
  • パフォーマンスはメンバの慣習、実践知に依存するためパフォーマンスは最大化されない。

 

製造する手段で性能が違う場合

成果を製造する手段がメンバで違う場合、前述の手法は使えない。

なぜなら、いくら作業を分解し、製造しようとしてもそれを加工し生み出す装置が違うため。

一輪車で運ぶ場合の手段は一輪車であり、運ぶ人もまた手段である。

運ぶ人の能力が違っても、運ぶ能力の差異である。

製造する手段が違う=装置が違う場合、ばらつきが出る。

マネージャは、チームのメンバそれぞれの製造の能力を知る(計測)する必要がある。

マネージャは個々の能力を把握することで理論値のパフォーマンスを知る必要がある。

 

メンバの能力を計測する

個々のメンバのそれぞれの能力を計測(評価)する。

能力の高低をレーティングする。

ある工程の仕事をしたときの平均値に近いメンバをチームの標準値とする。

 → この標準値を基準とすると標準値より低いメンバは習熟度をあげる対策となり、

  • パフォーマンスの観点でイノベーションは起きない。
  • 標準値より高いメンバはさらに引き上げる理由がないためパフォーマンスは悪化する方向に流れる。
  • メンバの能力を計測することは現状を把握する目的で利用する価値はあるが、能力の差をメンバが知ることで、副作用もある。

 

1人のメンバのパフォーマンス

1人のメンバのパフォーマンスは、製造する工程、装置だけに影響を受けない。他の要因からも影響を大きく受ける。

メンバは製造するとき、外部の作用を受ける。その作用は製造の途中でメンバの能力に対して成果を引き上げる影響、引き下げる影響を与える。

外部の作用は、メンバの社会的な関係性を依存する集合体<チームメンバとの関係<家族<メンバ自身の関係で強く影響を受ける。

→ 個々のメンバの能力に左右されるが、

  • 能力は外的要因により影響を受けやすい。

 

計測したパフォーマンスの可視化

マネージャは、パフォーマンスの最大化のために、計測したパフォーマンスは可視化して期待を得られない点をひい上げしたい。

製造の性能が個々のメンバに依存することを理解すると、それを対象に可視化しようとする。

可視化し、視認できる対象に対して対策を講じる。

個々のメンバの能力は、外的要因に影響を受けるため、一時的もしくは少なからず向上する。

その効果は計測を継続している間だけである。

計測を続けることが新たな外的要因となり、メンバの製造能力に影響を与える。

→ パフォーマンスの可視化は、次の目的以外には使えない。

  • 期待する能力に到達しないメンバの可視化
  • メンバ自身の改善
  • メンバの入れ替え

 

工程を科学する

マネージャはチーム独自の製造工程を観察(計測)する。

観察した定量的な情報、製造の仕組み(段取り、手順)を図式で可視化する。

インプットとアウトプットまでで加工(プロセス)を繰り返さない、移さない、同じ情報を作らない観点で対象になるものがあれば排除対象とする。

ただし、これでは継続的イノベーションとなるので、途中を飛ばす、情報入力の場所を変える、手段を変えるなどの発想が必要となる。

チームに変更した後の案と効果を説明する。

サンプリングで案を複数回トライする。

期待する効果が認められれば、チームに説明し同意のもと導入する。

 

 

行動分析学マネジメント-人と組織を変える方法論

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