程よい緊張感を保てるチーム

チームが仲良しクラブだと成果は出ない。なんだか楽しいイベントは行われ、組織の満足度調査も高い結果が出る。側から見る限りは問題ないように見えるが実際にビジネスに貢献しているかどうかは疑わしい。

自分としては、次のような関係にあるとき成果を一定のスピードと専門家としての品質を確保したアウトプットをできると考える。

  • それぞれの専門性を持ち、意見を言う
  • 専門性は違いながらお互いに成長しようとしている
  • (自分は除き)それぞれの能力が高い
  • 尊重している
  • 高い要求を望む

この条件を満たす状況でなぜ自分なりにアウトプットできているか。それは程よい緊張を感じられるからである。

緊張はあまり良い意味で取られないことが多い。プレゼンで緊張を克服するために手に一文字を書くとか、プレッシャから緊張して能力を発揮できないなど使われることからもわかる。

でも、ある程度の緊張であれば、それを乗り越えてアウトプットしたとき、達成感は少し多く感じる。

昔話になるが、エンジニアで成果の出せていなかった頃はレビューされるのがとても嫌だった。『てにをは』や体裁で済んでほしいと思っていたものだ。ましてやコードを見られるのは耐え難かった。

あるレビューに参加しているとき、頭の良いエンジニアがレビューアのコメントをよく聴き、指摘内容を確かめ、関心したり、リジェクトしたりしながらやり取りをしている風景に居合わせた。この体験は自分の認識を変えた。

もう一つ、メンバを呼びつけ、一方的に延々と批判をするプロマネを見たことがあった。

前者には良い緊張があり、後者には悪い緊張(プレッシャ)がある。

後者は悪い緊張を体験したことしか残らないだろう。延々と浴びせられた批判は批評されている状況から逃げたいことだけを考えるため、馬耳東風で批判の時間が過ぎることだけ祈っているようなものだ。前者には、レビューイのエンジニアにもレビューアにも気づきがある。

どちらの方がチームとして成果を出すかは自明だと思う。前に進もうとする気持ちとそれぞれの専門性で競い合うチームは、チームとして個々の成果以上に成果を得られる。個々の前に進むマインドは調和し、伸び代を広げるからである。前者のように閉じこもり、萎縮するようなことはない。