ナレッジ共有というお化け退治

組織が成長(100→1000のフェーズ)や高齢化(1年経って若手が配属されなければ一つ組織も老齢化する)と お化けのように要望として上がるのがナレッジ共有だ。

動機自体は極めて純粋で、増える要員への(過去の情報共有や育成の手間の)負担軽減だったり、シニアエンジニアの退職までの残存期間に危機感を持ってノウハウを言語化しておきたいというものだ。

ここまでの動機は良しとして、それに余計なオプションを言い始めるとタチが悪くなる。その代表が、そしき横断で同じツールを使いたいと言うものがある。

結論から言えば、好きにして、だ。ナレッジ共有の仕組みが欲しければ欲しいチームで、チームで良いと思うツールを選定し、そのチームで運用ルールを決めて実際にやってしまえばいい。

ナレッジ共有が組織横断で上手くいかない理由はきりがないほどある。

・ナレッジ共有したいと思っている人しかインセンティブがない

・運用負荷を考えていない

・全体の業務に組み込めない

などなどある。最初の理由だけで試合終了感満載だが、やりたい人はそこに気づかない。

これはエンジニアが新しい言語、ツール、環境をどこかで見聞きして、自分のチームでもやりたいというのと同じ症状である。変える理由も権限もないから導入されることはないし、逆に権限を持つトップから落ちてくると押し付けられ感だけで嫌になってしまう。上手いエンジニアは、自分だけか自分の裁量の範囲で闇研して、期待する結果を得られれば成功事例としてしれっと出す。

ナレッジ共有の要件を考えてみよう。

普通に考えれば、わざわざ手間を掛けて、共有したいもの、残したいものをコンテンツ化する。

多分にこれでは失敗する。「手間を増やさず」コンテンツを残す、が要件としては正解だ。

使い手のユースケースはどうだろうか。ディレクト構成が硬直的に決められた場所のコンテンツを探すだろうか。直感的に、困っているキーワードを検索するだろう。

・業務で使うツールで残せる

・キーワードか関連しそうなコンテンツをサジェストする

を実現できたらいいのではないか。

最大の障害はインセンティブであるから、わざわざ二度手間な実現仕様は論外でしかない。それよりはサジェストの方が困っている人にとって価値がある。

ナレッジ共有のシステムは90年代には既にいくつもあったが、ナレッジ共有の課題解決ならこれとなっていないのは、根本の要件への未達もあるのだろうが、困らないと必要ないからというところが本当なのだろう。

 

 

 

フツーの会社員だった僕が、青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉

フツーの会社員だった僕が、青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉

  • 作者:原 晋
  • 出版社/メーカー: アスコム
  • 発売日: 2015/11/21
  • メディア: 単行本