積読はスタックの実装解除

とある編集と話をしていたとき、技術書が売れないとぼやきを聞いたり、別の出版関係者の話をきいたときには出版不況にもかかわらず技術書は一定の結果を出しているときかせてもらった。

さらに別の編集と話をしたときには、やはり出版不況の話から売れている本の要素の話になって、そう言われてみればそのジャンルが一定のボリュームがあるのを知って感心したことがある。

 読み手側、それも学校の先生の話では、技術書を置いても厚くて読まれないとこぼしていた。だから、ここ数年の技術同人誌は入門の入門編として良いのではないかと話されていた。

自分の話をすれば、知人から口コミ的に紹介されたものは欲しいものリストに入れて、書店で実物をパラパラとめくって気になれば、そのままお買い上げする。

ではそうした本を読んでいるかと問われるとそうでもない。積読の方が圧倒的に多い。確実に読むのは、それをインプットに何かしらやらねばならないことを片付けるために仕方がなく読むことが多い。あとは積読か、パラパラと目次から拾い読みしたままか、である。

技術書には2つの種類があると思っている。一つは純粋に技術を取り扱うもので、多くはツールなどである。ツールであるから、前提のバージョンがある。バージョンは更新されるので、次のアップデートが賞味期限となる。だから書き手も読み手も最新のバージョンを追いかけるなければならない。

もう一つは、普遍性のテーマを扱うものだ。その人を形成する基礎コンピテンシで括られるスキルである。別の切り口で表現すれなら、マインドセットに近い。例えば、課題設定、問題解決、手法やアプローチ、終わらせるマインド、チームビルディング、プロジェクトマネジメント、交渉などである。こうしたコンピテンシはどの年代のエンジニアにも課題であるし、定性的にしかスキルを評価できないから、永続的なテーマとなる。よって、賞味期限はない。

こうした特性を持っているから、技術書は賞味期限を頭の隅に入れて、賞味期限のある技術書は買うタイミングか買ってしまったときに、積読にスタックする前に目次とパラパラめくりだけはしておきたい。

賞味期限のない技術書は目次だけは見て積読しても構わないが、OKRやMBO(目標管理)で自分の成長を意識したテーマ設定をするときに、引っ張り出して目次を眺めてみるといい。手元にあると言うことは、伸ばしたいスキルの現れであるからだ。ただ、不得手なテーマより、得手のテーマを選んだ方が心理的にとっつきやすい。

あと、積読はスタックを実装しているから、本を読まないエンジニアよりスキルは高い可能性がある。