若手エンジニアを消耗させない
もう20年近く経つので昔話ではあるのだが、その組織のSIプロジェクトの人的リソース計画をみたとき、ちょっと衝撃を受けた。
どうしたのかというと
『若手エンジニアを都合よく使いすぎ』
で、
『これでは若手エンジニアは育たない』
と感覚的に衝撃というか違和感を覚えた。
多分に、会計的な観点でコスト計上を正しく行うことを要請され、それを遵守するためにプロジェクトの人員計画を工程毎の工数から、配分したためだろう。
人員計画を見ると、いわゆるプレイングマネージャのプロジェクトリーダがいて、そのロールは通しで工数を積んでいるが、詳細設計や開発、テスト周りの、いわゆる下工程は適用技術で分解して、幾人かの若手エンジニアに割り当てていた。
幾人かの若手エンジニアも信頼、要は過去の実績や作業品質から使いやすいエンジニアに多く任せていて、若手エンジニアの中でも経験の少ないジュニアなエンジニアはまるでアルバイトのような時間しか割り当たっていなかった。
これで何が起きるかを想像して欲しい。観点は、1年後、3年後、5年後と時間軸で想像するとイメージしやすい。
当たり前だが、
プレイングマネージャのプロジェクトリーダ > 使い勝手のいい若手エンジニア > ジュニアエンジニア
の順でしか成長する機会がない。ましてや、ジュニアエンジニアは、信頼貯金を得る機会自体が非常に少ないから、成長の機会がない。
プレイングマネージャのプロジェクトリーダは、こうしたやり方でやってきていて、それでそれなりにやってこれているから続けているはずだ。
ということは、やり方に工夫の改善もみられていないということで、経験ベースの固定観念で仕事をし続けて、実際には成長の機会を不意にしている可能性が高い。
この想像から容易に考えられることは、
- ジュニアエンジニアから辞める
- 成長しないエンジニアを育てる
しかない。
若手エンジニアが成長しない、技術力がないというシニアエンジニアやマネージャをよく見聞きするが、そう言った不満をいう、
エンジニアをアサイメントできる裁量を持っているロールにいるものが、その実態を、時間を掛けて作り上げていることに気づかなければならないが、そう言った観点を持っていないから、結果的に、彼らのいう『無能な若手エンジニア』しかいない状態になる。
マネージャは、プレイングマネージャのプロジェクトリーダがそうした人員計画を立てていたら、組織の観点で正すように改善を要求しなければならない。
場合によっては、組織がコスト負担しなければならないこともあるかもしれないが、それでも、将来の組織を実現するために、若手こそ成長の機会を作らなければならない。
そして、そうした成長の機会は、プロジェクトの裁量をもつエンジニア全員のミッションなのだ。
だから、人的リソース計画をみたとき、どれだけエンジニアが通して入っているかをチェックすることが、将来の組織作りに繋がるかを判断できる。
若手エンジニアをアルバイトのように便利に使って、成長の機会を与えず、消耗させるようなことを回避しなければならない。