広い世界観を持つシステムエンジニアは仕事が進捗しない理由と対処について

「という感じでレビューをしてもらいます。何か不明点はありませんか」
「レビュー記録にレビューのやり方が厳しすぎて愚痴を書かれるかもしれない。もう書かれたらそうしたこともサブシステム別の報告書で所見を書かないといけないですね」


思わず

「はぁ?」


と声が出てしまったのは内緒です。はい。あと、

「そんな発想しないだろう?ふ・つ・う!」


と。思ったことも内緒です。いいですか、内緒ですよ。


一定の割合で存在する
因みに、この発言をしたシステムエンジニアの方はベテラン層の方です。正直、よくそうした考え方でシステムエンジニアとして「生き残れたなぁ」と不思議でなりません。でもでも、周りを見回すと10人メンバがいたら、ひとりくらいの割合で混ざっているんですよね。こうした考え方や受け止め方をされる人は。つまり、チームになったら一定量の割合で存在するということを意味しています。


困ったことにこうした考え方をする人を例えばメンバを調達する際にどのようなプロジェクトに参画してほしいか、どのようなスキルとレベルを持っている人でないと参加要件を満たさないかを話す場ではこちらがそうした人でないかを想定しながら会話を振らないと間違った判断をしてしまう可能性が高い、という懸念があります。なぜなら、このような考え方をする方は、往々にして会話では表面上はこちらに合わせてくる人が多いからです。


試されているのはプロジェクトマネージャ側か
会話をしていて、こちらが話す内容を理解した上で同意する、若しくは、自分の考え方を述べるのであれば、仕事の仕方、考え方の方向性さえ一致すれば、あとはアウトプットのスピードさえ期待を下回らなければ問題はあまり起きないものです。件のシステムエンジニアのタイプの人は、表面上は話を合わせてくるので一見、会話の上では理解をしているように見えたりするのですが、会話を掘り下げてみると次第にズレがで始めます。これは、会話を深くすることでこうした性質を持つ人を見極められないこともない、ということです。


実は相手の方が見ている世界観が広いために起きている
こうした性質を持つシステムエンジニアの特徴は、ワタシのようなシステムエンジニアと比較すると頭の中でワタシより広い範囲で物事のケースを考えている、という見方ができます。冒頭のケースでワタシは明示的に適用範囲や前提条件をつけることで適用する事柄について界面を明確にして設計するのですが、こういう性格を持つシステムエンジニアの方はそうした界面を2倍にも3倍にも暗黙に広げ、且つ、勝手に暗黙の前提条件を追加して物事を考えるのです。


これは界面という照射する範囲から違いが生じます。前述の「そんな発想しないだろう?ふ・つ・う!」はこの違いから感じる違いなのです。


そう、もう最初から見ている世界観が違うんです。ただ、こうした物事の捉え方の違いは誰とでもあるもので、多くはプロジェクトの世界観を描くプロジェクトマネージャ側の方が広く、分担するメンバの方が分担をするがゆえに狭いことが多いのです。もう少し言えば、メンバは分担をするが故に自分の範囲を見る世界として照射するために、複数のメンバがいればそれぞれの分担だけを自己世界として照らし、重ならない世界は穴となってしまう構造ができてしまうのです。


どう対処すればいよいか
こちらが、プロジェクトマネージャが考える世界観より広げて考え不安を感じているということを踏まえることで、そうした性質を持つシステムエンジニアの方への仕事の出し方は、プロジェクトマネージャが考える世界観より内側に押し込むような仕事の出し方をすることができればよい、ということになります。


極端な言い方をすれば、普通のメンバであればメンバ間の隙間を作らないように、メンバの分担が重なるように広げるようにすることを、真逆のより狭い範囲に限定して、いや、細分化した上で仕事を渡すという考え方で仕事をアサインするしかプロジェクト内で貢献させる手段がありません。実はこれは、新人システムエンジニアに対しての仕事の出し方と同じなのです。でもその新人システムエンジニアへの仕事の出し方とも違うところは、新人システムエンジニアなら仕事に慣れてくれば分担を広げるものですが、こうした性質を持つシステムエンジニアに対しては仕事を渡す範囲を恣意的に広げない、ということです。


ひとりごと
このように視点を第三者の立ち位置で変えることでなぜ考え方に違いが生じるかを客観的に認識することができます。認識することは、状況を理解することです。理解できればどのように対処すれば良いかを考えることができます。


視点を変えるとは、自分のロールや感情に縛られることがない思考を持つ、ということです。こうしたスキルを持てるとストレスフリーな環境を手に入れることができます。だって、味方が分かればあとは課題や仕事に落ちますから。