先週末から読み始め、

主に通勤帰りに時間を確保して、読み終えるまでに1週間かかった。この本で一番印象に感じたことは、登攀のシーン。細部にわたり綿密に書かれており、脳内にシーンが再現できるのでのめり込んでしまう。一握の望みの無いミッション、困難な状況、内に抱える葛藤。
グリンデルワルト、ユングフラウヨッホと山岳鉄道。かれこれ10数年まえに新婚旅行で訪れた思い出の地が小説の舞台。ユングフラウヨッホの頂上から見下ろした風景と、シュペングラーが登攀の途中で見下ろしたであろう、牧歌的な風景がシンクロしていく。10数年前のあのとき、天候はすばらしく快晴だった。ユングフラウヨッホの頂上にいったあの日は。
だれでも一つくらい持っているだろう、黒歴史を抱え、思い出すたびにもがき苦しみながら日々に流されていく。そのまま流されて飲み込まれてしまうか、シュペングラーのように乗り越えていくのかは、その人次第。
北壁の死闘 (創元ノヴェルズ)