葛藤に終始なのか、櫛枝美乃梨の独白か

とらドラ!〈9〉 (電撃文庫)
結局のところ、竜児を櫛枝美乃梨やら川嶋亜美やら逢坂大河やら女の子が取り巻きながら、竜児がウジウジと自滅しかかる。こういったグダグダ感のじれったいストーリ展開は、どうも食指が止まってしまうし、実際前半までは、本を買ってからなかなか進まなかったのは事実。では、一体どこからページが進んだのかと本を読み返すと、亜美ちゃんが独白するところあたりだった。あのあたりからページが進み、週末から月曜夜にかけて読了と相成った。

結局、人は自分の周りの人と関わりを持たなくては、それもこちらの考えていることをどのように伝えて、向こう側の考えていることとをどこまで理解できるかが自己の不安を解消する最短の道であると教えてくれる。

随分前に、自分の人生の中で一番精神的肉体的に堪えたことがあって、朝起きて会社に行くときに胃酸過多(多分層だったのだろうと思う)になったり、それなりに体重が落ちたりしたことがあった。あらゆるところで関係がギクシャクして、周りから見たら相当駄目な人間だったに違いない。

そのときは、吹っ切れることができて、体調も精神的にも持ち直したことは、それ以降のモチベーションの高次元での維持にかなり、自分自身助かった。

人はいくつになっても、自分がどうしたいかを明確に伝えられる人は多くなくて、双方向の意志伝達が出来ないものだから、相手に対して疑心暗鬼になってしまう。それ自体、いくつで気付くこともなく、カラダだけがただ大きくなってしまった大人は、自分を責めたり、相手側を一方的にリジェクトしたりすることになるのは、そもそも自分自身から相手側に接触しないのだから、致し方がないことなのである。

こうやって見ると、ラノベもいいものだなぁと思うのである。