謹訳 源氏物語 三巻

読み始めれば、また、ページを開けば楽しいことを知っているのに、ついつい何とはなく避けてしまうのは没頭してしまうことを知っているからか。やっと、読み終わった。もとのままでは到底読めなくても、絶妙な訳になっているから読み進めることはできるし、ゆるゆると読もうと気持ちもゆったりしてしまうのはすっかりやられているからだろう。

幾つも和歌が散らばっていて、それも読んでいると分かるような気がしなくもないけれど、作るとなると話は違うから微塵も思ったりしない。この三巻でいくつもの和歌を読んで、その中で気になったのはこれ。

“世の中にさらぬ別れのなくもがな千代もと嘆く人の子のため”
(世の中に、どうしたって避けることができない別れ、死というものがなかったらいいのに。永遠に生きていてほしいと嘆く子どもらのために)


恋愛ばかりの和歌ばかりなのにね。