料理はシステムエンジニアの経験値を問う


よくプロジェクトを料理の手順で例えられるし、ワタシもそう思っていたのだけれど…それはそれでいいのだれけれど、それって料理の手順を作業工程にひも付けているのであって、本来の技術者に求められる資質についてまでは多分に誰も言及していないのではないか、と思ったのだけれどどうだろう。



世の中には数え切れないほどの料理のレシピがあります。レシピには通常、

料理名
材料と分量
手順
出来上がりの図・写真


で構成されています。でもですね、誰が作っても同じ料理の出来栄えになるかといえばそうならないのは料理をしたことがある人なら分かると思います。



料理を始めた頃の料理の出来栄えを思い出してみましょう。料理の経験がある人は、まだ挑戦したことのない料理を作ることを想像してみましょう。


大概の人は、料理のレシピ本のような出来栄えにならないことは仕方がないと諦めつつ自分で作ったのだからこんなもんだ、と自分を納得させているのではないでしょうか。


そして同じ料理を作ってもいつも同じ出来栄えにならないのはどうしてなのでしょうか。


たかが素人の家庭料理だと考えてしまった人は、どんなことにでさえ自分がその作業を思うように仕上げることはできないのではないか、と思うのです。


例えば目玉焼き一つを作ることにします。

■目玉焼き
玉子 2玉
サラダ油 小さじ1

フライパンにサラダ油を引き、中火に掛ける。
玉子を割りいれ、白身が白くなったら火を弱火にする。
白身の縁がきつね色になったところで火を止め、皿に盛り付けする。


目玉焼きのレシピなんてこれといって正統があるわけではないと思うので水を差して蓋をして少し蒸すなど宗派の違いまではここでは述べません。


それにしても、たかが目玉焼きひとつの出来でさえ毎回違いが出てくるものです。とはいえ、初めて作った頃の出来栄えよりは毎週末1回でも作り続けた後に作る目玉焼きの出来栄えの方が作り手の思うようにできるものです。


これは作り手のスキルレベルの違いが出来栄えの差異として結果に表れています。ではどうしてレシピ通りに作ったとしても同じレシピで差異が出てしまうのでしょうか。


それは、経験から完成イメージを導けるか、もしくは、過去に経験した類似の経験値から想定できるかどうかなのです。


経験値がなければレシピがあったとしてもレシピを再現することは易しくはありません。なぜなら完成させるための途中の工程を含めて合っているかどうかが料理をする当人さえ確信が持てないからです。特に、味については調味料の分量に厳密性を持たせるのは洋菓子作りだけですから幅が出てしまう要素を持っていることも1つの要因だからです。



味自体を確かめることができず、分量は厳密ではなく、その調味料も仕入れのメーカーで風味が違うのですからレシピ作成者の料理の味とは少しずつ違うものができてしまうという元々の性質を持っているのです。


さらに料理を作る人自身の経験値により同じレシピでも味付けも出来栄えも全く違うものになってしまうものなのです。


プロジェクトを料理にたとえるときには、料理人はシステムエンジニア自身に置き換えられるものだし、両人であるシステムエンジニアの力量で完成イメージである料理の出来栄えも味付けも変わってしまうこということを暗に示唆していることを知っておかないと例えが適当でないと思ってしまうのでしょう。