SIerにイノベーションの異端児は育てられない

イノベーションへの解を読んだ方ならご存知だと思うのですが、イベーションには継続的イノベーションと破壊的イノベーションの2つがあるのです。

前者の継続的イノベーションとは世代交代をしていきながら高機能、付加価値、高品質を繰り返すイノベーション。後者は、ガラケーからiPhoneのように新しい価値を提供するもの。 

イノベーションへの解 Harvard business school press

イノベーションへの解 Harvard business school press

 

 そこそこのメンバと仕事をしてきて振り返ると人には得意不得手があるもので、得手を理解した上でアサイメントしないと期待する成果を得られないのでアサインするマネージャはフラストするし、仕事を振られた(無茶振りされた)メンバは不得手な方で成果を求められてもパフォーマンスなんて出るわけないよと言いたいに違いないな、と。

そうした得手不得手的なものは人に依存するのですが、全部が個人に依存するわけではなく、人の性質として生まれ持った性質と経験により身につける性質のうち、後者の経験により身につける性質は、SIerなどの組織の志向に強く影響を受けます。だってそれを身につけないと仕事続けられないですもの。

継続的イノベーション志向エンジニア

 継続的イノベーションの一番最初は最初から継続的イノベーションではなく、破壊的イノベーションなのです。最初はなんでもそこに存在しないから。

そこに新しい価値のイノベーション、具体的なサービスが生まれてなんとか生き延びると継続的事業を目的にイノベーションの改良が繰り返されるのです。

システム開発に例えると初代のシステムの一番最初のリリースが破壊的イノベーションにあたります。以降は、機能追加、維持管理という継続的イノベーションが繰り返されるのです。

こうした業務に向くエンジニアは、目の前にある対象に対し課題を与えられて解決する手段を実現する人です。そこにイノベーションがあるかどうかといえば継続的イノベーションイノベーションなのでイノベーションがある、です。ただ、継続的に機能を現実化することに向いている特徴があるというところがミソです。

この継続的イノベーションが得意なエンジニアはそれを志向するので破壊的イノベーションの仕事を振っても発想が継続的イノベーションですから期待する破壊的イノベーションのビジネスには向かないのです。

継続的イノベーション志向エンジニアの思考プロセス

継続的イノベーション志向エンジニアの思考プロセスとは、継続的イノベーション志向のエンジニアの判断基準を踏まえた行動基準の現れです。つまり、全ての行動が判断基準に従うようにプロセス化され継続的イノベーション志向エンジニア自身の行動を制御します。

こうした個人の判断基準は生まれ持った性格と成功体験に基づく経験で習得する性質により形成されるので、行動を潜在的に影響し、本人には得手不得手となります。

全ての行動には、課題は与えられるもので指示された、又は成功体験に基づき処理するように自分に働きかけます。課題の設定も従来の課題設定の発想の繰り返しで、改良と前例の踏襲が基本的な志向プロセスの原則になります。

つまり、継続的イノベーション志向エンジニアに対していくら破壊的イノベーション思考を求めても得られるのは継続的イノベーションでしかないということです。

継続的イノベーション志向エンジニアは組織が育てている

です。なぜなら、人の性質のうち、後天的な性質は経験の積み重ねで得ているからです。組織自体が継続的イノベーションを志向しているから組織の価値判断はそれを元にプロセスに織り込まれるのです。

ときどき、破壊的イノベーション志向のエンジニアが混ざりますが、それはその人の過去の経験で得て身につけた性質だったりします。そういう志向のエンジニアが継続的イノベーション志向の組織に混ざると浮いた存在になったり、異端児になるわけです。

SIerは事業継続しているとより強く継続的イノベーションを志向するので異端児は育てられないのです。

 

ああ、ワタシ異端児な気がする。