提案を、まるで一方通行の片思いのような“思い込み”にしないために

メンバがシステムを試験する段階になって、

「わーコレ拙くない?」


とか、割と大きな声でツィートするわけです。勿論、聞こえないふりしますけどね。内心はドキドキですが。

「(なんだ、また何か見つけちゃったの?それ、おいしいの?)」
とか、
「(なんだ、妖精さん見つけたのか。なら、幻覚だから。)」
とか、


現実をなかったことにしたい心情が120%くらいでしょうか。


で、そそくさとやってきます。

「すみません。これ拙そうなの見つけちゃったんです。まだ、パラメータの変更できますか。全部の環境なんですが。」
「たまたまだけど、今ならすべての環境を変更するイベントがスケジュールにあるから変えること“は”、できるよ。」
「あのですね、このケースでhogehogeのとき、ファイルの更新がuniuniで……。」
「あ、込み入ってますね。あっちのホワイトボードに描いて説明していいですか。」
「ドーゾ、ドーゾ。」


「(カキカキ)で、このタイミングでファイルの更新をするとちょっと出遅れる子が出てくるんですよ。」
「(マジヤメテ。そう言うの。)」
「(ちょっと待て。それそんなに頑張ることか?)」
「というわけで、シス変したいんです。」
「シス変したい起因はわかった。ふうん。」
「でさ、そのパラメータのシス変する値、それで“確からしさ”はどう導き出すの?」
「hogehogeのところでのタイミングがあるので、もとの設定値の値のnn%くらいで行けると思います。」
「(わっ、思いますレベルだ。)」
「それ、確からしさのロジックがないと誰も判断できないよね。変更することに対しては必要ならやりましょう!なんだけれど、実際、nn%で大丈夫なのか、nn%にしても同じケースがでてくるんじゃないのかなーって思うんだけど。」
「つまりね、シス変しても、それ起きちゃう可能性あるんじゃないの、って思うんだけど。どう思う?」
「んーん、そうかもしれませんね。」
「あとね、それ、現状の設計でもファイルの更新先が寝てたら同じ心配しているケースになっちゃうんじゃないのかなー。」
「それに、そのシス変ってなんかチューニングのレベルの話のように聞こえるけど。」


「でさ、気にはなるのよ、それ。でね、もうちょっと広げた時間枠の中で整理してくれるとうれしいなぁ。」
「どんなふうにですか?」
「hogehogeがあるでしょ。uniuniのところのタイミングって1つじゃないでしょ?で、ほら、こっちとかあっちとかのタイミングがあるじゃん?ここを論理的に整理しちゃうわけ。」
「でね、そのタイミングの前後もちょっと入れてあげるといいかな、と。ほら、限界値テストみたいな感覚で。」


まず、このメンバは良いメンバです。何が良いかといえば、“オカシイ”と思ったらオカシイところを説明できる程度まで現状を整理して“相談”してくれたから、です。
#パチパチ


で、もう一歩踏み込んで考えてくれるようになると、もっと俯瞰する視点を持ってモノゴトを考えることができるようになる資質を持っているように思います。逆に言えば、“オカシイ”と感じたことから導き出す次の行動が“独りよがり”になっているかも、ってことです。


“しまった、このケースじゃファイルの更新されない!→まずい!シス変しないと設計書どおりにならない→変えなきゃ!”っていう思考がストレートに進んじゃったんじゃないかな、っていうように感じたんですね。


それは、まるでその拙いケースだけスポットライトを当てて、狭い範疇だけで考えてしまった、んだということになるんじゃないかって。そのスポットライトを少し引いて明りの当たる範囲を広げると、当該ケースの拙い、と思ったことが実は問題がないかもしれない、っていう別の思考に思い当たるのかもしれません。


それって、

「ヤバッ、目が合った。マジ気があるんじゃね。じゃあ……。」
とか、
「これだけ話してくれるんだから、気があるよね。よっし……。」


みたいな、情景を被らせてしまったんですよ。


決して、相談に来た人に考慮が足らないといっているのではないんです。気づきはバッチリです。スピード感も素晴らしい行動力です。でも、メンバにはもっと期待しています。「おまえいらない。オレたちでやる。おとなしくしてて。」くらいになっても怒りもしません。逆にウエルカムです。そうして組織やチームが冗長化されるのですから。


ちなみに、ワタシの想像の範疇ですが、たぶん変更してもしなくても大丈夫だと思っています。が、確からしさを整理することで、今後のチューニングの観点が見えてくるかな、なんて一つ欲張りに考えていたりします。