これから苦境のプロジェクトへ向かうエンジニアの君へ −生還者からの餞の言の葉−


相変わらずSIビジネスはダメだとかどうとかネタとしてまるでゾンビのようにはてぶが勢いよくついたりするわけですが、それって、SIビジネスだから、なんでしょうかね。何度か述べたウォーターフォールで上手くいかないプロジェクトにagileのscumとかカンバンとかを半分実験的な感覚で導入して立て直した経験から言えば、ウォーターフォールがダメとかSIビジネスがダメなんじゃなくてやっているエンジニアの方に課題がいろいろあるんでしょうに、と思わざる得ないんだけど。


彼のウォーターフォールシステム開発が上手くいかなかったプロジェクトは、scrumを採用したからうまくいったわけでもないし、“ウォーターフォールがダメだから”上手くいかなかったわけじゃないんですね。それはツールとしてのウォーターフォールを使うコツが理解されていなかったからだと思うんですよ。それって、方法論の問題じゃないいんですね。ツールとしてそれを使う側の問題なわけで。


そういう意味合い、つまりウォーターフォールシステム開発方法論として採用するSIビジネスがどーの、こーのというのはワタシ的には「間違いじゃん?」って思うし、SIビジネスとして契約云々をズバリ指すのであれば、それは「ダメ出ししなくてもいいような契約形態にすればいいじゃない。」って思うんですよ。契約の話を書くと長くなりそうだから端折るけれど、端的に書けば相互に誤解を生まない程度で具体的なdeliverableを定義すればいいし、何が何でもきちきちに仕様は詰め過ぎず、「数量とか定量的なもので縛っておく方法で調整弁の余地を残せばいいじゃん。」って思うわけです。これて、agileのスプリント計画でのスプリントバックログでどこまでは必ずやるけれど、これ以降はできたらやりますリスト的なものと同じ考え方でですね。大体、営業だってエンジニアだって、

“将来を予見する占い師が職業ではないんだから”


予測できないことを前提にしないと。予測できないから見積もりできません、ではダメだし、当てずっぽうでもダメです。顧客だってその提案書を採用するとき、上に稟議を諮るわけで、そのための添付資料なんですから相互に理解できて腹落ちする書きっぷりになっていないと。


これから苦境に向かうならまずリサーチしてね
釣りといえば釣りですが、まじめに、と言えばまじめに書くつもり。
これから向かうプロジェクトが割とお祭り状態とか、すでに炎上しているとか、そういった情報は上からより横横のつながりで入ってくるものです。例え日頃はなさい周りの人でも君より情報を持っているかもしれないので、リサーチをしておこう。


なぜ、リサーチが必要かというと、それは、手ぶらで行っていきなりお祭りの最中に投げ入れられてびっくりするより、リサーチして限られた時間の中ででも得られた情報がたったプロジェクトの一面しか表現されていないけれど、それを自分の頭で理解しておくことは自分が当事者になるというプロセスを事前に踏むことでもあるんですね。


例え支援で、と言われても、投げ入れられたら“当事者”です。当事者になったらそれはもう「ワタシ、支援なんで……。」なんて言ってられないですよ。もう、立派なメンバですから。


当事者として予め情報を得るのは自分の覚悟を決めることでもあります。主に何を期待されているのか、自分がこれから赴く環境はどのような状況下であるのか。メンバの雰囲気はどうか。そういったことはあくまでも聞いた人からのバイアスのかかった情報でしかないし、それに自分の目で見たこと感じたことではないから全面的に信頼をするほどの価値はないけれど、それでも「そんなもんだ。」として腹積もりをしていけるだけ幸せな環境を自ら作ることができると思うんです。
#まぁ、得た情報から“最悪なケース”も連想できるし。


自分を中心に2メートルから変えていく
当事者になって、お祭りなプロジェクトのメンバに晴れて迎えられたら、期待されている役割を果たすわけです。既存のメンバは、もう既に感覚が麻痺している可能性が高いです。特に負のスパイラルに陥っているプロジェクトであればあるほど。


だから、期待されている役割を中心に、第三者的な俯瞰する視点でどこがオカシイか中に入ってみるとピンポイントでわかったります。日々のタスクをアサインされればそれは期待されていることなので、感情は棚に上げて最小の自分のリソースで処理できるように工夫しながら対処するんです。いいです?麻痺しているのであれば同じやり方をしたら、あなた自身も麻痺しますから。
#麻で痺れるのは麻婆豆腐だけで十分ですよ。


そうした第三社の目線でいろいろ見分けられることを続けるには、あなた自身が彼らと違うマインドセットを持ち続けないといつの間にかミイラ取りがミイラに、赤が朱に染まるように汚染されてしまうかもしれないんです。だから、ちょっとずつ変えていく、工夫をすることでおかしな状態であることを忘れないで「もっといいやり方で楽で同じ結果が得られるよ。」と自分の周りの2メートルの範囲から変えていきましょう。


スケジュールに依存しないマインドセット
あと、スケジュールはお祭りプロジェクトでさえあるものです。それが実態を表しているかどうか、は別次元の話ですが。それでもそれしか無ければそれで動くわけですが、人はそうした未来を示すものがあればそれを心の拠り所にしたくなるものです。


でも、そんなお祭りのプロジェクトのスケジュールなんて信頼できませんし、信頼できるのは動かすことができないマイルストーンくらいです。なら、そのマイルストーンは目安として自分の担うタスクをある程度の塊で自分の心の区切りにして、「ここまでこうやっていこう。」とか、「これが終わったらアレ買う。」とか、した方がいいです。だってね、やらないといけないし、それ、自分でやることなのでいくらでもコントロールできるんだもの。


辛くなったら相談相手に聞いてもらう
もう一つ。相談というか、つぶやきを聞き流してもらえる人とバカ話できるように偶には時間を作ってもらおう。別に3次元でなくてもいいけれど。


さて、時間だ。骨は拾ってやる。行くんだ。