はじめてのプロジェクトマネージャ


プロジェクトマネージャをやっているエンジニアなら誰も一度は通って来た道。同じ初めてでも、エンジニアの名刺を貰って顧客の前に出されるのとは大分違う。


だって、プロジェクトマネージャ様ですよ。プロジェクトをマネージメントする、コントロールする役割を担うんです。でも、プロジェクトマネージャとしてふるまうのはこのプロジェクトが

“は・じ・め・て”


だったら、それはもう責任と期待の大きさも重さも違いますよね。「SEリーダをやっていたから大丈夫?」いえいえ、プロジェクトマネージャならなければ経験できないことだってあるんですよ。


ワタシの、初めての、プロジェクトマネージャのアサインは
プロジェクトマネージャにアサインするケースでよくあるのは、ある程度、そのセクターの業務が分かっているとか、適用技術が進んでいてSEリーダを何回も経験しているから、とか、そういった経験を背景にすることが多いです。他には想定外のプロジェクトが取れてしまって(!)、組織全体で出来そうなプロジェクトマネージャの経験を持つエンジニアを引っ張ってくるパターンでしょうか。


ワタシの場合、異動した直後にその異動先の担当事業の専門もろくに知らないでプロジェクトマネージャをアサインされたんです。なので、後者と言えば後者でした。


それまで、ご多分に漏れず、ほかの事業のプロジェクトである専門チームのSEリーダをやってたんですね。でも、そこではプロジェクトマネージャの経験は一度もなかったんです。その頃にはいつでもできるように準備しておこうと実践で使うツール、様式とか実際に進捗は同管理しようか、のようなナレッジは溜め込んでいたんです。


ただ、机上でしたけどね。


一番最初にやったこと
そんなこんなで、召喚されてアサインが正式に決まったんですね。じゃあ次は何をしたかと言うと、

“初めてのプロジェクト計画を作った”


ですよ。このプロジェクトのdeliverableは何か、適用技術は何か、適用技術を持つキーパーソンは“誰か”、キーパーソンは確保できるか、とか。


兎に角、提案書でわからないところがないように、読み、聞き回り、また読み、訊き回る。


そうして、自分の頭の中でどんなものを作ればいいのかをざっくりしたイメージを作り上げたんです。


やったことがなくても出来るフリをする
でも、実績としてその事業のデリバリはしたことがないわけで、どうしてもそこをどうにかしないとウィークポイントになってしまうんですね。プロジェクトマネージャは、プロジェクトをキャリーする側の実務の責任者なのですから、その人に対して、人物に対して周りが不安に思ってしまうとプロジェクトが途端に上手く行かなくなるんです。


顧客なら、不安に思ってしまったらプロジェクトに対してリスクをシェアしているので関与する度合が俄然増えます。顧客がプロジェクトをコントロールしようとし始める。これは拙いのです。プロジェクトの責任は双方にあってもITのプロジェクトに対する専門性はこちら側にあるのですから。それを専門性を持たない顧客が指揮し始めたらどうなるかわかりますよね。最悪は、プロジェクトマネージャを代えろと言い出すんですよ。


だから、プロジェクトマネージャがもし初めてプロジェクトをキャリーするにしても、絶対に周りを不安がらせてはいけないのです。


ではどうするか。


出来るフリをするんです。ワタシは“プロジェクトをいくつも成功させているのだ”と思うんです。そしてこのプロジェクトも成功させるのだ、と。


で、一番最初にプロジェクト計画を、自分がプロジェクトをキャリーするイメージも提案書の読み込みもして、自分のプロジェクトとして作り上げた世界観を実現するために自分を演じるのです。


ただ、演じている最中はとても不安に思うものです。その不安を解消するのが、一つひとつの作業を終わらせていくことです。プロジェクトメンバへの進め方の説明と完遂のコミット、キックオフミーティング、1回目の検討会、などなど、日々のタスクの完了を積み上げて、それを自信に変えていくのです。


多分、いまプロジェクトマネージャをやっている、やっていたエンジニアはそうやって初めてのプロジェクトを乗り越えてきたんです。


大丈夫、出来るフリをして、やってみて、間違えていたら修正して、できた、に変えていこう。