残業100時間越えのプロジェクトチームを残業ゼロに変えた7つのこと


新しいプロジェクトを立ち上げ、プロジェクトチームを編成してスタートを切ったときのことです。ワタシはそのチームを外から見るロールでいたので、最初は様子を見ていたのですがいろいろと事情があってそのチームは開始直後からガッツリと残業していたのでした。「こりゃあかん。」と思ってぷろじぇくとオーナと会話してレスキューに入ったのですが思った以上にアレコレ酷かったのでいろいろ手を打ったのは今となっては気づきもたくさんあって良い経験でした。


そうした「いろいろ手を打った」の中で直接関与することになって仕切り直しをすると決めてから残業がゼロになるまでずっと言い続けてきたことがあるのでした。


受け身で仕事をするな
「担当するタスクは自分で見積もりなさい。」とずっと言っていました。これは、他人が言う納期は相手の思いつきの日付か、契約の都合で納入する義務のある日付です。その日付が妥当かどうかは知ったことではないですが、こちらとしても契約上やらないといけないならやらないといけないのは変わりません。


ただ、現実問題、その納期にまでできるだけの十分なリソースがなければ100点では納めされないわけです。そうすると、あとは条件闘争に入ります。その主体性を持つためには受け身で仕事をしていては、納期も品質も「言われるがまま」になってしまいます。それでいいのか?ってことです。


ワタシがそうした「知恵を授けるのはどうなの?」って仕事を振る側は思うかもしれないけれど、でもさ、無理な納期、無理な品質の後出しをしているとするなら、条件闘争してもいいでしょ、って思うんです。で、それを受ける側があまりにもそういったところを理論武装しないで仕事をやり過ぎなんですよ。だから、残業が膨らむわけで。


こうした理論武装をして条件闘争をしないって言うスタイルは、ワタシから言えばしなくていい残業をしているだけでそれも自分たちでそれを選択しているんじゃん?って。「バカなの死ぬの?」を地で行っているなぁ、と。金髪青眼の少女に言われるならご褒美でしょうが、ワタシに言われるのは癪でしょうから受け身で仕事をするのはやめて頂戴な。


理想時間で見積もり、出来高を出せ
タスクの作業時間の見積もりは、その作業をする人が見積もらないとダメです。他人が見積もった納期はそのタスクを実施する人の納期ではありません。口ではいくら「大丈夫です。出来ます。」と言っても自分で見積もったわけではありませんからね。そこにコミットはないです。出来なかったときの言い訳は幾らでもできます。

  • 割り込みの打ち合わせが入りましたから。
  • 情報が足りなくて集めるのに時間が掛かりました。
  • 見積もりが甘かったんじゃないですか。
  • 見積もりした人とわたしとパフォーマンスレベルが違います。


出来なかったときの理由は幾らでも作れます。なら、ざっくりした日程で見積もるときはリーダとかがやってもいいけれど、タスクを具体的に詳細化するときはそのタスクを実行する人に見積もりさせればいいんです。そして、もう、実際にやる前に足らない情報や仕様が表面化させることが出来る最終ポイントでもあります。それを越えてタスクに手を付けてしまうとあとは実行中に不足が出てくるから日程が延びるばかりです。


兎に角、担当する人に見積もりをさせる、そのタスクだけをやったら何時間でできるのか理想時間で見積もりをさせ、それで出来るとコミットさせた上で出来高をトレースするんです。


パニックモードに入ったら戻る場所を決めておけ
一杯いっぱいになって作業をすれば、碌なことにはなりません。後で冷静になれば何でこんな簡単なことでパニクっていたんだろうって思うものです。プロジェクトマネージャの立場から言えば、そうしたパニクることで起こる二次被害の方を心配してしまいます。


パニクるときに自分でパニクっていると自覚できればいいんですが、自覚できるなら思考を戻す場所、具体的には自分が今何をやっているか俯瞰できる資料を手元に広げなさい、と言います。例えば、作業の進行表だったり、システムの俯瞰図だったり。居場所を見つけることです。そして何をやるのか、今どこまで来ているのか、を知るための現在地を確認するのです。


作業は再鑑の観点で必ず二人でするようにしています。ま、トラぶったときに解析する人とメモを取ったり状況を連絡したりする人の役割分担が必要になるので。ということは、パニクるときもう一人仲間がいるのですね。なのでもう一人が「パニクっている人に『まだ慌てるときじゃない。』とツッコミを入れろ。」って言っています。


一人で仕事をするな
これは一人で出来る仕事なんて限られているし、必ず成果物は内部レビューをするのでチームメンバと関わることもあるので役割分担はもちろん助けてもらい、助けなさい、という意味なのです。


だから、チームの他の人が今日はどのくらい自由になる時間を持っているか知らないといけないし、そのためには朝会でみんなの空き時間の有無を聞いたり、困っている人が居て空き時間が取れるなら助けてあげよう、と意識しないと出来ないんです。


空き時間を作れなければダメ
仕事が回ってくれば隙間の、空き時間を作れるようになります。ただ、そうした空き時間も意識しなければ1時間でできるタスクを+空き時間を使ってやるようになります。これでダメ。1時間で見積もった仕事は1時間でやる。空き時間は空き時間で取っておく。


いいんです。メンバは時間を空けても。それを責めてはいけない。責められるのはリーダ、プロジェクトマネージャです。でも、それもオンスケなら誰にも文句は言われない。だからメンバは気にするな、と。


空き時間は、理想時間でタスクをできるようになってはじめて得られるのです。で、空き時間を持てるようになると、メンバは考えるようになります。あのタスクはこのケースの時にはどうなるか、このケースの時の試験項目は十分か、とか。メンバが自分で考えるようになる、能動的になるには自分で考える時間が必要なんです。


二人でも朝会はやれ
データセンタ作業があると開発拠点に居残る人が少ないときがあります。そういう状況になると「朝会をやらなくてもいいかな?」と思う気持ちはわかりますが、でも、やらないとダメです。習慣になるまで、なってもやるんです。会話をしないと情報共有はできません。


勿論、データセンタサイドでも同じように朝会をやってもらいます。情報共有、リマインドなど声に出して、確認することが大事なのです。


自分達のルールを守れ
大の大人に細々とルールを決めるのは当たり前のことの定義がないからです。なら、定義しないといけない。定義したら、それを守ってもらわないといけない。守れていないなら叱責しますよ。だって、みんなのルールでしょ?守れないならこう言うんです。「このルールを守れないなら今からやらなくていい。でも、自分たちでルールを決めてそれを守れ。」と。ただ、「そうするんだったらワタシは要らないと言うことなので手を引く。」と。


放置すると人はルールにルーズになるものです。それを当たり前に守れるようになってもらわないといけない。当たり前のことが当たり前にできるようになるには結構大変なんです。


こればっかりじゃないけれど
でも、この7つが大きなフレームワークというか思想だったと思うんです。残業を100時間するような状況は端的に言えばコントロール出来ていないから、です。なぜ、コントロールできていないか、と訊かれれば、それは主体的に当たり前のことをできていないから、です。


なぜ、と聞かれれば「ふうん。」とか「それだけ?」なようなもの。でもその当たり前が出来ていないという現実から目を逸らしてはいけないんです。