人を評価するには評価軸を持っていないと評価結果が次に繋がらない


初めてマネージャになったとき、それこそ初めての体験があったのだけれど大体はその前から前任者を見ていたのでなんとなくわかっていたり、一部は作業をしていたりしたのでそれほど大したことはなかったんだけれど、一つだけ要領と言うかコツがわからないものがあってどうしたものかと。で、ワタシが勝手にワタシのメンターだと思っている人のところに行って、雑談するように訊いてみたんです。

「マネージャになったんですけどね。」
「そうだね、頑張ってね。」
「頑張りますよ。でね、ひとつ教えて欲しいんですけど。」
「何?」
「期末には、業績の評価をしなければならないでしょう。どうやっています?」
「後で揉めても説明できるように評価をしているよ。」
「後で説明できるように、ですか。」
「そう。あとで『なんでこの評価なの?』って聞かれても『コレコレの理由で』と説明できるようにね。」
「なるほど。」
「聞きたいのはそれだけ?」
「それだけ。あざーす。」


こんな口調だったかどうかは忘れてしまったのですけど、その人とならそれほどずれてはいないでしょう。以前から、そんな関係ですから。


後から説明できる評価とは
後から説明できるようにしておくということは、初めから評価ルールを作って「評価軸に沿って対象者の業績を評価する」と言うことになると理解しました。それは、定性的な業績評価ではなく、定量的な評価をする、と言うことと理解しました。


そうした評価手法には、ボストンコンサルティンググループPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)とかGEのビジネススクリーンとかあるのは知っていたけれど、その手法が業績評価に使えるかどうかはまた別なのでは、と思ったんでしょう。だいぶ前のことですから。


で、どうしたかと言えば、列には評価項目と評価基準、行に評価対象者をマッピングして組織の中で期待する役割や特別なミッションをプロットしていき、その評価項目ごとの評価基準を決めたのですね。で、その評価基準は定量的に。そうした評価表ができので、早速、試しに今いまの状況でその評価表の方を評価してみようと評価データを入れてみたらどうもしっくりこない。何か足らない。そんな気がする。でね、質問しに行ったときのことを思い出そうと。

「ひとつ忘れていけないのは、全部を定量的な項目にしてはいけないんだよ。」
「どうして?」
「評価対象者の中で次世代とか重点的に育成したい人がいるだろう?」
「自分の後任候補とかですねー。」
「たとえばそう。そう言う人にチャレンジな仕事を任せたとき、その結果をそのまま評価しちゃうといろいろ困るときがある。」
「ふうん。」
「だから、マネージャとして匙加減が出来る評価項目を入れておく。少しだけ。」
「少しだけ?」
「匙加減ができる項目ばかりじゃ評価シートを作る意味がないだろう?」
「まぁ、そうですね。」
「だから、少しだけ。」


あぁ、そうです、定性的な評価項目が抜けていたわけです。それを評価表に追加する。で、もちろん、評価基準も入れておく。それで再度今いまで評価をしてみると何となく全体のイメージが合うのでフレームワークとしてはオーケーに。


評価は評価だけのためにするものではなく
基礎スキル、技術スキル、勤怠、その他いくつかの評価項目で評価してみたんですがその結果が面白いと言ってはなんですけどね、想定外になってみたり中々面白かったです。なにせ数字で順位がでますから。その順位が想像していない順位に現れる人もいたりと、感覚でおもっていたことを数字と言う表現にするだけで違う視点を持てるというか。


何より、興味深いと思ったのは、評価項目を並べるときに一人ひとりの強みを意識するんですよね。Aさんはアレが強いとかBさんはソレが強かったんだなぁとか。だから、それを伸ばす方が今の本人やビジネスの結果に結びつきそうか、それとも、その強みのスキルを横展開した方がいいのか、とかとか。こうしたことを考えておくのも次の育成につながっていくわけで。


評価はそれで終わるものではないんですね。如何に、次の育成に繋げるか、です。